#921/3572 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 19/04/15 20:38 ( 29)
探偵作家はしれっと嘘を 永山
★内容
テレビ朝日系で放送のドラマスペシャル「アガサ・クリスティ 予告殺人」を録画視
聴。ネタバレ注意です。
記憶があやふやで、こんな雰囲気の物語だったっけ?と思わず検索してみましたが、
基本線は原作に忠実だったみたい。それなのに何故こんなにも観るのが苦痛な仕上がり
になるのか。
まあ、一番の原因は、原作に無理に合わせようとしたニックネームにあるのは明ら
か。確かに呼び名が手掛かりの一つになってはいるけれども、日本人名に置き換えても
何ら問題ない。逆にデメリットとして、珍名と珍ニックネームのせいで、散漫な印象に
なってしまった。それだけでなく、「芥川親子の名前は、いかにも作ったようなおかし
な名前だ」みたいな台詞がありましたが、他の人も珍名のオンパレードじゃん!と突っ
込まざるを得ない。
相国寺刑事の色恋沙汰は余計な付け足しにしかならなかったし、警察を含めた関係者
が揃った状況で犯人が家政婦を殺そうとするのは訳が分からないし、その犯行を警察が
止めに入るけど、水に頭を押し付けるという方法を採ってくれたから間に合ったもの
の、もしも銃や刃物で殺そうとしていたのなら囮になった家政婦は無事では済まなかっ
たろう。入れ替わりトリックも現代じゃまず不可能だし、一件目の殺人で停電させるト
リック葉水の痕跡が残りそう。二件目の殺人の動機となった目撃証言を、被害者はどう
してすぐに話さなかったのか不自然極まりない。三件目の殺人は、被害者があのタイミ
ングで頭痛を起こさなかったら、犯人はどうしていたのだろう。三件目についてはもう
一つ疑問があって、館の女主人が命を狙われていたが、たまたまその常備薬を飲んだ同
居人が犠牲になった、という点を強調して、間違い殺人に思わせるべきなのに、弱いま
まだから、犯人が分かり易くなっていた。推理作家渾身の“嘘”や“詭計”を台無しに
している。
あと、俳優陣がちょっと……。特に男優。柱となるどっしりとした存在感の男優が欲
しかった。沢村一樹主演で作られてきたシリーズ前二作は、柱的な男優がそれぞれキャ
スティングされていたのに対し、本作ではいなかったように思います。そしてそれがド
ラマ全体を軽くしてしまった大きな原因ではないかと。
ではでは。