AWC からくじ問答   永山


        
#864/3054 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  19/03/15  21:01  ( 40)
からくじ問答   永山
★内容
 某ポイントサイトのメールマガジンで、くじと称して、複数ある広告の内の一つだけ
が当たりでポイント付与。当たりをクリックするとポップアップが出て、分かるように
なっていた。
 が、今回分からポップアップは出ない仕様になったとのこと。
 ん? それって最早、くじとは呼べないのでは?
 ポイントの加減を記した“通帳”を見ても、どの広告をクリックして当たりが出たの
かは不明だし。正直に、全部の広告をクリックしてほしいんですって言えばいいのに。

 くじと言えば思い出す?白黒の石を使った博打。というか、博打を主題にしたパズル
ですね。初出が何なのか知りませんが、記憶を手繰ってみると次のような具合だったか
と。
 庭に白と黒二色の石が敷き詰められた家に金貸しの男が住んでいた。金貸しは色欲が
強く、女性に大金を貸しては返済できないように追い込み、身体で払わせることを重ね
ているとの悪評が。
 ある女性もその手口に引っ掛かり、どうにかして返済期限を延長してもらおうと嘆願
に来た。金貸しは女性の申し出に対し、こんな賭けを持ち掛ける。「期限を延期しても
返せるあてはないんだろ? だったらこの場でけりを付けようじゃないか。俺が庭にあ
る黒い石と白い石一つずつを拾って、布袋に入れる。おまえさんは袋から一つを引く。
それが白なら借金は棒引き、黒だったら俺の物になる」
 女性は迷ったが、期限を引き延ばせても返せなくては末路は同じ。それならばと受け
ることに。金貸しが石を拾う間、(石の形で白黒を推測できないよう)背を向けていた女
性だったが、室内にあった鏡を通してたまたま見えてしまった。金貸しが黒い石二つを
拾って袋に入れるところを。このままではどうあっても黒い石を引いて負け。かといっ
て疑義を唱え、金貸しを怒らせて有無を言わさず返済を迫られても困る。窮地に陥った
女性だったが、はたと閃く。
 女性は布袋に手を入れると、中にある石の一つをしっかり握り込んで、取り出した。
しかし手を開かないでいる。金貸しが「どうした、早く開けて見せろ」と急かすのへ、
「結果を知るのが恐ろしくてできません」などと言って、ぶるぶる震え始める。それで
もようやく思い切って手を開いたその瞬間、震えがいよいよ大きくなって、手の中の石
がぽとりと落ちた。
「恐ろしさのあまり、震えが止まらず、取り落としてしまいました。あら? どの石が
私の手にした物か、紛れて分からない……困りましたわ……あ、そうだ。その袋の中を
見ればいいではございませんか。黒い石が残っていれば、私が引いたのは白ということ
になりましょう?」
 ――こんな感じ。何となく、落語っぽさがあるような?
 実際には、手で握った分、石が他のより僅かに温まっている気もするけど、真夏の炎
天下に行われたことにしましょう(笑)。

 ではでは。
 金貸し「く〜っ……あ、俺も震えて石を落としちゃった。てへ」




 続き #865 黒と白  $フィン
一覧を表示する 一括で表示する

前のメッセージ 次のメッセージ 
「◇フレッシュボイス2」一覧 永山の作品
修正・削除する コメントを書く 


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE