AWC ◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー10


        
#1042/1158 ●連載    *** コメント #1041 ***
★タイトル (sab     )  16/01/15  16:42  (150)
◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー10
★内容
《 諸君、今日は一日お疲れ様でした。疲れたでしょ。
私もサボっていた訳じゃないんだよ。
さっきまで理系志望の生徒の相手に講義をやっていたんだから。
そんなんだから食事もまだで…だからちょっと失礼して、
今日は食べながら放送をしたいと思うんだが。
と言っても、ファーストフードぐらいしかないんだけど。これはビッグマックか。
じゃあちょっと失礼して。ガブッ。んー、うまい。ジューシーだ。
反対側から肉汁とかソースがこぼれるね。
さぁ、それじゃあ放送を始めたいと思います
諸君ら、疲れているかも知れないけど、授業は授業で、やってもらわないと。
何かあると授業を放り出してしまうのが落ちこぼれの悪い癖。
もっとも、放送は、今日を含めて、4、5回しかないので、
本当にエッセンスというか、トピックスを数個、
いや、一個言えるかどうかという感じなんだが。
そこで、これだけは伝えておきたい、というのは何か、と、生物Tと、
あとちょっとUにもかかる範囲で考えてみたんですが、
やっぱり、今時の高校の生物は、結構高分子になっていて、
DNAの複製とかタンパク質の合成とか、そういうのが柱になっているんだが…。
それはどういう感じかというと、君たち、教科書読んでいないだろうから、
ちょっとどんな感じか教えてやるけど、
タンパク質の合成というのは、
細胞の中に核があって、核の中に遺伝子があって、
その必要な部分がメッセージRANというのに転写されて核外に出てきて、
そこで、そこらへんに漂っているアミノ酸がひっついて、
それでタンパク質の合成、って事になるのだが。
ただ、ここで重要なのは、そのまま細胞外に放出されたりはしないで、
ゴルジ体というところで、調整が行われるということなんだよね。
ここで注目したいのは、このタンパク質の合成、というのと、ゴルジ体による調整、
というのは、なんか、過剰、と、去勢、という感じがしないか、
ということなんだけれども。
或いは、…タンパク質の合成と、遺伝子のコピーというのが高校生物では
重要だ、って言ったけれども…遺伝子のコピーについて言うと、
コピーをしたのはいいけれども、コピーに失敗して、がん細胞になっちゃった、
とかなったら、今度は、リンパ球が出てきて、がん細胞を攻撃するわけでしょう。
ここでも、がん細胞が発生するという過剰と、リンパ球による去勢という、
過剰と去勢がある。
この過剰と去勢というのが、トピックになるんじゃないかと私は考えているんだが。
ところで今リンパ球とか出てきたけれども、リンパ球ってなんだか知っている?
リンパ球っていうのは血液の一種で、
インフルエンザとか麻疹とかになったらそれが攻撃してくれるんだが。
このリンパ球が出来る時にも、この過剰と去勢っていうのがある。
このリンパ球はどこで出来るかというと、諸君らの腰骨の中に造血幹細胞という
10万個に一個と言われる幻の細胞があって、
そこから血とかリンパ球が増殖してくる。
ところが、その中に、自分を攻撃してしまうリンパ球がある。
これがあると、膠原病とかの自己免疫疾患になってしまうんだけれども。
だから、そうならない為にそれを取り除く作用があって、
これを免疫寛容というんだけれども。
だから、私が言いたかったのは、
造血幹細胞からリンパ球が増殖するという過剰があり、
一方で、自己免疫反応を起こす様なリンパ球を取り除く去勢もある、
ということなのだけれども。
そういう感じで、体のいたるところで、過剰と去勢、
ということが行われているのだけれども、
ここからは教科書からはちょっと離れてしまうのだが、ま、いいでしょう、
重要なのは、この過剰と去勢の去勢って、誰にとっての去勢なのか、
という事なんだね。
過剰というのは、太陽の光が泥の川に差してきて花が咲く、みたいな感じだから、
自体的に咲くという感じでいいんだけれども、
それを去勢するとなると、整える、という感じで、誰の為に整えるんだ、となってく
る。
とりあえず、自分にとっての去勢、と考えるだろうが、
でも、なんとなくおかしいと感じない? 
だって、自分を攻撃するから骨髄が免疫寛容をする、というと、
どうしてそんな機能が最初から備わっているんだろう、そんなの目的論的じゃないか、
って感じがしない? 
えー、生物学的にものを考える時の基本的なスタンスというのを、
ちょっと、ここで教えるが、
ダーウィンの『種の起源』で、
首の長いキリンと首の短いキリンがいて、餌が高いところにしかなかったので、
首の長いキリンが生き延びた、という場合に、
首の長いキリンは環境に適応する為に首を伸ばして行った、
って考えちゃダメなんだよ。こういうのは目的論と言って。
たまたま、首の長いキリンと、首の短いキリンがいて、
たまたま、餌が高いところにある、という環境が、首の長いキリンを選択した、
と考えないとダメなんだね。
つまり環境が遺伝子を選択したと考えるのが正しいスタンスなんだね。
そう考えると、この、骨髄に関して言うと、骨髄がリンパ球を選択した、というのは、
遺伝子が遺伝子を選択した様なもので、なんかおかしくない? 
そんな作用が遺伝子にあるのか、と思わない? 
環境が個体なり遺伝子なりを選択する、というふうに選択説的に考えるならば、
骨髄とか遺伝子とかいうローカルなものの外に、
もっとグローバルな環境を想定しないとおかしいでしょう。
ちょっと話を遺伝子に戻すと、
さっき、遺伝子のコピー失敗、
つまりがん細胞が出来るというのは過剰だと言ったけれども。
遺伝子をコピーする瞬間というのは、コピーというよりかは、
DNAポリメラーゼが元の遺伝子を鋳型にして、
そこらへんに漂っている塩基を選択する、って感じで、
これはどっちかというと、合わないものをはじく、という感じで、
去勢なんだよね。
そして、むしろ、このDNAポリメラーゼが塩基をびーっとくっつける時に、
びーっとズボンのチャックを上げていたら布に引っかかっちゃった、
みたいな感じで余計なものが出来ちゃったのががん細胞で、
どっちかというと、こっちが過剰なんだよね。
だから普通にDNAポリメラーゼが塩基を選択していくんだったら、
これは選択説的に行われているんだから、
やっぱり何かグローバルな外部からのエネルギーがないとおかしいんだよね。
といってもなかなかイメージ出来ないだろうから、ちょっと模式図的に言うと…。
遺伝子のコピーって、ながーい二重螺旋の一部が解けて、
丸で電車の線路が上下に分かれるみたいになるんだけれども、
そこに、一両編成の電車、これがDNAポリメラーゼだとして、
それを走らせて行くんだけれども、
でも、レールが片方しか無いと安定しないので、
もう一本、仮のレールを持ってきて走り出す。
そうやって走りながら、仮のレールを、どんどん継ぎ足していく、
という、この継ぎ足されたレールが新しい遺伝子で、
そういう感じでコピーが行われていって新しい遺伝子の鎖が出来るのだが。
そのコピーが行われている時に遺伝子が解けている場所って、
上側は左から右へ、下側は右から左へとなっていて、つまり上下線があるのですよ、
丸で電車の上り下りみたいに。
という事は、あれは化学合成というよりかは、
電車の様に外部から電気なり磁気なりを貰ってきてやっているんじゃないか。
何も奇想天外な事を言っている訳じゃなくて、普通に考えればそうならない? 
因みにDNAポリメラーゼというのは亜鉛酵素で出来ていて、
亜鉛酵素は反磁性だから自体的には磁石にはならない、が、磁気の影響は受ける。
亜鉛は脳にも多く含まれているけれども、
高圧線の下に住んでいると脳腫瘍になるとかいうのも関係あるんじゃないか。
だからつまり、遺伝子の複製というのは、遺伝子自らの作用ではなくて、
電車みたいに、外部から電気とか磁気とかを与えられてやっているんじゃないか、
と、私はイメージしているのだが。
あと、遺伝子って、内側に向かって二重螺旋だよねえ。
あれって、外部のエネルギーによるから、そうなんじゃないのか。
もし自分の力でコピーしているんだったら、
葉っぱみたいに外側に向かってシンメトリーになるんじゃないのか、とも思う。
まぁ、それはどうでもいいんだが、私が言いたかったのは、
もし、遺伝子の複製が外部の電気、磁気の作用によるのであれば、
一蓮托生、他の部位に関しても、同じことが言えるのであって、
ゴルジ体も骨髄も、何か外部の電気なり磁気なりの影響を受けて
作用しているのではないか。
つまりそれは宇宙の磁気なのではないか。
だから、リンパ球においては、造血という過剰があり、免疫寛容という去勢がある、
と言ったが、後者は、宇宙の磁気によるんじゃないか…。
…という訳なんだが、どうかね。
いきなりちょっと突っ走りすぎた気もするが。
以上は私の説なんだが、みんなにはどう聞こえるかね。
お前らみたいな低偏差値の落ちこぼれには、馬の耳に念仏かね。
それとも、理解できて、なお、基地外が知ったかしていると聞こえるかね。
或いは、理解出来て、さもありなんと思ってくれたら一番嬉しいのだが。
さて、今日は初日ということで、こんなところ終わりにしたいと思うんですが。
ところで、そうそう、今日話した事が、亡くなった生徒、牛島君っていったっけか、
彼となんの関係があるんだ、という気持ちはあるかも知れないけれども、
それは、2回目、3回目になれば、だんだんと関係してくる、かも知れない。
えー、それじゃあ今日はこれで終わりにします。
次回の放送は明日の5時になります。
その時間になったらバッテリーを入れてディスプレイの前で待っていて下さい。
それではみなさん、今夜はよく眠って明日のカリキュラムに備えて下さい。
それではみなさん、又明日》

プチッ。




元文書 #1041 ◆シビレ湖殺人事件 第1章・ヒヨリー9
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