AWC ●新・権力の陰謀246 遡及適用〜被告の苦しい答弁〜 ヨウジ


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#876/1158 ●連載
★タイトル (CKG     )  11/01/07  00:27  (159)
●新・権力の陰謀246 遡及適用〜被告の苦しい答弁〜 ヨウジ
★内容                                         11/01/07 11:01 修正 第2版

平成20年秋に行われた行政訴訟の訴状の中で
原告である私は次のような主旨の一つの主張を行った。

娘が家出した平成14年5月より以前に家庭内で起こった事象に対して、
平成15年4月1日から施行された「旧要綱」を平成16年4月頃に適用
することは法制度の施行の原則に反しており不当である。遡及適用する場合
は施行日の規定に付随して明記されなければならない。「旧要綱」は被疑者
である原告に不利益になる規定が含まれているため遡及適用は認められない。
後継の制度である「条例」の適用も同様の理由で不当である。

この後、ケースごとに具体的な論述を行っているが、これについてはここでは
省略する。代わりに下記の文書を参照すれば私の主張が良く理解できる。

2010/11/25 ●新・権力の陰謀242 DV制度適用のもう一つの疑義

要するに法制度の適用により不利益になる場合は遡及適用はできないという
大原則がある。反対に法制度の適用により利益になる場合は遡及適用できるが、
その場合は施行日の規定に付随して明記する必要があるということだ。

これに対して被告は次のような主旨の答弁を行ったので反論する。

被告の答弁1

「旧要綱」の「ストーカー規制法」が定める被害者に対する支援について、
原告の「ストーカー規制法」の施行日以降に発生した事象が対象になると
する主張は認められない。「旧要綱」の施行日である平成15年4月1日以降に
おいて現にストーカー行為等の被害者となっている者が対象となる。

反論1

「ストーカー規制法」によりどのような行為がストーカー行為等に当たるかが
初めて定義され取り締まり対象になった。どのような犯罪でも同じだが、法律
で犯罪行為が定義されて初めてその行為が犯罪として扱われる。そしてその時期
は法律の施行日からである。施行日以前の行為は犯罪とは扱わないというのが
法制度の大原則である。だから「旧要綱の施行日である平成15年4月1日以降
において現にストーカー行為等の被害者となっている者」には「ストーカー規制法」
の施行日以前の事象は含まれない。その時点では規定がなかったから犯罪とはなり
得ないからである。もしそれが本当に取り締まるべき事象であれば、「ストーカー
規制法」の施行日以降もストーカー行為等が行われるから取り締まりの対象から
漏れるという不都合は生じない。

1.適用とならない事例

  つきまとい等=有
平成12年11月24日 「ストーカー規制法」の施行日
  つきまとい等=無
  つきまとい等=無
平成15年04月01日 「旧要綱」の施行日
  つきまとい等=無
平成16年04月01日 被害者の申立て→「旧要綱」不適用

2.適用となる事例

  つきまとい等=有
平成12年11月24日 「ストーカー規制法」の施行日
  つきまとい等=有
  つきまとい等=有
平成15年04月01日 「旧要綱」の施行日
  つきまとい等=有
平成16年04月01日 被害者の申立て→「旧要綱」適用


被告の答弁2

「旧要綱」の「ストーカー規制法」が定める目的以外の事由でのつきまとい等又は
暴力行為の被害者(以後、「その他の被害者」という)に対する支援について、
原告の「旧要綱」の施行日以降に発生した事象が対象になるとする主張は認められ
ない。他の自治体で同様の規定が設けられている要綱もあり、総務省との質疑応答
で「ストーカー規制法」や「DV防止法」以外のつきまとい等や暴力の被害者に
ついて自治体が支援対象にすることは可能である」との回答を得ている。

反論2

原告の主張の趣旨は法制度の遡及適用は認められないということであり、他自治体
で「その他の被害者」も支援対象にしているところがあるとか、総務省が「その他
の被害者」を支援対象にすることは可能であると言っているということとはまったく
無関係で的外れな反論である。
「旧要綱」の「その他の被害者」についての部分については、「ストーカー規制法」
や「DV防止法」と言った基本法が存在せず、適用対象や各種の手続きについての
規定が何も存在しない。まず、規定がないまま「旧要綱」という手続き法を施行す
ること自体に制度上大きな問題がある。「罪刑法定主義」に反するからである。

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罪刑法定主義

罪刑法定主義(ざいけいほうていしゅぎ)は、ある行為を犯罪として処罰する
ためには、立法府が制定する法令(議会制定法を中心とする法体系)において、
犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰を予め、明確に規定
しておかなければならないとする原則のことをいう。

公権力が恣意的な刑罰を科すことを防止して、国民の権利と自由を保障するこ
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
とを目的とする。事前に法令で罪となる行為と刑罰が規定されていなければ処
^^^^^^^^^^^^^^
罰されない、という原則であり、遡及処罰の禁止などの原則が派生的に導かれ
る。刑罰に限らず行政罰や、損害賠償等の民事罰にも適用されると一般的に解
    ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
される。
^^^^^^
(以上、フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)「罪刑法定主義」より)
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そして基本法が存在しない場合は手続き法である「旧要綱」が空の基本法と
見なされるから、「旧要綱」の施行日が基本法の施行日と扱われる。
よって「旧要綱」の施行日である平成15年4月1日以降の事象が対象になる。
もしそれが本当に取り締まるべき事象であれば、「旧要綱」の施行日以降も
つきまとい等や暴力行為が行われるから取り締まりの対象から漏れるという
不都合は生じない。

被告の答弁3

被告自治体は、平成12年頃から、「ストーカー規制法」に定めるストーカー
行為及びこれ以外のつきまとい、あるいは暴力行為等の被害者に対して支援を
行って来た。

反論3

平成12年頃から「ストーカー規制法」の被害者と共に「その他の被害者」に
ついても支援して来たという主張だが、住民基本台帳法で謳っているのは
「ストーカー規制法」と「DV防止法」の被害者であり、「その他の被害者」
については謳っていない。何故なら対応する基本法が存在しないからだ。
総務省は質疑応答の中で「自治体がストーカー規制法」や「DV防止法」以外の
被害者を支援対象にすることは可能」と言っているが、基本法なしで行って良い
とは言っていない。民主主義や人権は一つには罪刑法定主義を徹底してこそ実現
できるものであり、基本法なしで行うことは今回のような人権侵害を招く。
「ストーカー規制法」や「DV防止法」に相当する「その他の被害者」という
国民共通の重要問題については、国民の代表による多数決で決められる国の法律
によって決定されるべき問題であり、警察官の恣意的判断の範疇を越えている。
不文法という名の法律は存在せず、不文法で平成12年頃から「その他の被害者
」についても支援して来たという主張は、法の遡及適用を正当化する理由には
なり得ない。

                       ヨウジ

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P.S.行政府が施行の原則を破ったために、うまく行くものがうまく行かなく
    なった。

    思春期の子供との親子間のトラブルは多かれ少なかれどこの家庭にも
    起こる問題であり、たまたま子供が家出したことを種に、些細なことを
    大げさに取り扱い家庭崩壊を招いた。

    また基本法やそれに付随する基本方針や基準や手続きがないまま場当た
    り的に施行したため、親子が寄りを戻す機会や可能性がことごとく奪わ
    れた。

    今日の結果は、娘が18歳だった時から8年8カ月に渡り父親である原
    告と母親である妻による両親の関与を一切奪った状況下で起こったもの
    であり、重大な人権侵害である。

    「ストーカー規制法」や「DV防止法」に相当する基本法が創設される
    までその他の部分の制度は廃止されるべきである。





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