#209/1165 ●連載
★タイトル (yiu ) 04/02/21 13:42 ( 38)
狂気の勇者達。the diamond dust 【2】 一楽亭 モウキ
★内容
カラスと町に出かけた。かなり賑やかな町でここはどの武家にも力を貸さないで自治を
町衆が行っている。敵対していない武家もしくは兵糧に困っている武家にだけ、物資を
提供している。後にこの町はアラガスと呼ばれるのだが。
「カラス、仕官先は決まったのか?」
カラスは武具屋のショーディスプレイに食い入るように見つめている。余程、自分の武
に自信があるのだろう。
「おい!」
カラスが目を丸くして此方を見た。
「あ・・・だからさ、仕官先は決まったの?」
「まだ決まってない。どの武家も、今は兵士募集してないからさ。」
ヘイマイゼルの生きた時代は俗に言う戦国時代で、さる四人の魔女を代表とする反乱が
起きるより二千年前の時代である。
この群雄割拠の時代には今現在九の武家が勢力を争っている。先ずはこのアラガス港
を拠点とし、アラガスの防衛を大方針にしている「アラガス町衆」。ウッドミドガルド
に隣接するカラッパに拠点を置く、「バザバ家」。ウッドミドガルドとロックガンバ、
更にはモロクソウにまで勢力圏を広げる「オルドス家」。ドラド諸島を支配する「ドラ
ド一向」。そして大陸の三分の一を締めるベルガニア平原に拠点を置き防衛を行ってい
る、「ミク家」、「ナウ家」。そのニ家の宗家たるのが、後にベルガニア王朝を建国す
る「ベルガニア家」である。
他にはエルフのみの湖ノーズヒルドに難攻不落の要塞を置く、「ヤンヤウッド」。ヘ
イマイゼルの種族カミュエール族の宗家、「ドラゴンフォー家」。
「見ろよ。」
カラスが言った。
見上げると、奴隷として扱われているゴブリン族の若者が声を張り上げて何かを叫んで
いた。
「ゴブリンの若者よ!武器を持て、この苦痛から解放するのだ!」
その若者と目が合った。ヘイマイゼルは反射的に目を反らした。その若者は前髪も後ろ
髪も長く長く生え伸びていて、まるで囚人のようだった。
「おー!いいねぇ。そこのゴブリンのあんた、面白いこと言うねぇ。」
左の方で声がした。声のトーンからして純人間であろう。
「面白い?あんた馬鹿か?」
カラスが食って掛かって声の主の肩を思いっきり引っ張った。
「あんた名は?俺はハルカだ。」
声の主ハルカは顔の右頬から指の先まで奇妙な刺青があった。
「カ・・・カラスだ・」
カラスは退いた。
「そうか。」
少し歪んだ笑顔を見せるとハルカは去っていった。