AWC 「催眠」(という短編の目論見書)改2 朝霧


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★タイトル (sab     )  18/08/01  16:11  (130)
「催眠」(という短編の目論見書)改2 朝霧
★内容
仮題『催眠家族』改

【登場人物一覧&キャラクター設定】
 ()内はイメージキャスト。思い付かない場合は?印。
橋本舞美。(?)。17歳。法正高校(都内の仏教系高校)2年生。
橋本信夫。(渡部篤郎)。42歳。舞美の父。
橋本京子。(篠原涼子)。39歳。舞美の母。
橋本保聡(やすとし)。(?)。舞美の二卵性双生児の兄。17歳。都立高校3年生。
橋本愛。(?)。15歳。舞美の妹。中学校3年生。
鈴木真貴。(?)。17歳。法正高校2年。
鈴木文勝(ぶんしょう)。(高橋克実)。50歳。竜泉寺住職。
苫小牧。(村本大輔(吉本興業))。30歳。竜泉寺の僧侶。
蟹沢賢磨(けんま)。27歳。竜泉寺の寺男。
大谷智雪(大野智(嵐のリーダー))。18歳。法正高校3年生。

【舞台&状況設定】
 舞台は法正高校(都内の仏教系高校)と竜泉寺(浄土宗)。
 主人公舞美は法正高校の2年生。同級生に真貴(竜泉寺の娘)、先輩に大谷(真言宗
のお寺の息子)がいる。
 竜泉寺には苫小牧という男が入り込んでいる。真貴と結婚してお寺の相続をしようと
目論んでいる。
 寺男に蟹沢(元真言宗信徒)という男がいる。
 舞美は蟹沢に恋心を抱いている。
 真貴は保聡(舞美の兄)が好き。
 信夫(父)、京子(母)は竜泉寺で苫小牧が催す行事にはまっていた。

【おおまかなストーリー】
@橋本家は竜泉寺の檀家である。信夫(父)、京子(母)、保聡(兄)は、寺の行事
(写経、禅、お茶会など)に熱心に参加していた。行事には瞑想や催眠もあった。
 寺の行事を仕切っているのは苫小牧という男。苫小牧は元々は竜泉寺の人間ではな
かったが入り込んできている。寺の娘・真貴と結婚して寺の相続を目論んでいる。
 寺には寺男の蟹沢(真言宗出身)もいた。蟹沢は現世利益には興味がなく、「個人
の仏性と宇宙の根本原理の合一だけが目的」と言って、黙々と塔婆に字を書いていた。
 高校に行くと大谷(先輩)は「舞美の父母と兄は洗脳、催眠に引っかかりやすい性
格だ」と言う。
大谷は言う。「催眠とは簡単に言うと、新しい脳を眠らせておいて、古い脳(潜在意
識)に働きかけて言ったとおりにさせる術である。これをやれば、身体を硬直させて
動きを奪う事も出来るし、レモンを食べさせて甘いと感じさせる事も出来る。
 又、これらの催眠を組み合わせて、もっと自発的な行動を誘発させる事も出来る。
例えば、サイクリングという反復運動で古い脳を活性化させておいて、同時に漕ぐ運
動で股間を刺激して、同時にコロンの香りで潜在意識を刺激しておく。すると次にコ
ロンを嗅がせた時に欲情させることが出来る」などと。

A或る朝のこと、保聡はコロンのニオイをさせていた。真貴にプレゼントされたとい
う。
 その朝、保聡は駅のホームで後ろの人間に突き飛ばされて死んでしまう。
 舞美は、先輩から聞いたサイクリングの話と、兄がコロンをつけていたことを考え
合わせて、「これは催眠で突き飛ばされたのではないか。その催眠をかけたのは苫小
牧ではないのか。苫小牧は真貴と結婚して寺を継ごうとしていた。それを兄に横恋慕
されたと思ったのではないか」と想像する。
 兄が轢かれる瞬間を妹の愛も見ていた。
B父母はカーテンを閉めてふさぎ込んでいた。
 苫小牧が訪ねてきて、「お寺に来て少しでも心を慰めたらいかがですか」と言って、
父母と妹まで連れて行った。
 舞美は、「苫小牧は、もしかして現場を見ていた妹を始末する積りなのではないか」
と心配する。
 又、舞美は、苫小牧の浄土宗的な家族愛的なものをウザいとも感じていた。舞美は
例えば学業でもAO入試や面接など人間のやることは信用できなくて、全てマークシ
ート方式にするべきだ、などと思っていた。だから、蟹沢の真言宗的なもの、自力本
願の原理主義的なものの方が好きだった。そんなことから蟹沢に惹かれ出す。
C舞美は、苫小牧の催眠に対抗する為に、自らも独学で催眠を学びだす。
 舞美の学んだ催眠は、施術者個人がクライアント個人にかけるという、人が人に施
すものだったが、上手く行かなかった。
D舞美は大谷に催眠について尋ねた。大谷によれば、催眠は施術者個人がクライアン
トにかけるものではなく、宇宙のエネルギーをクライアントの古い脳に作用させるも
のだ、とのことだった。
 舞美は竜泉寺の様子を見るために寺の裏山に登った。そこで寺男・蟹沢に遭遇する。
そして仏教の話を聞く。蟹沢は言う「宇宙の根本原理にも汚れ、”なまぐさ”がある
が、これが人に宿ると悪人になる。そのように宇宙と人間はつながっている」と。
舞美は、大谷の話と似ていると感じる。そしてますます蟹沢に惹かれる。
E舞美は、クラスの女子に催眠をかけてみた。レズビアン的な接触で「性的興奮に達
したら相手の首を締めろ」と念じた。後日、その女子の彼氏が「首を締められた」と
騒いでいた。舞美は催眠は成功したと自信を得る。
F竜泉寺では護摩に使う薪を割っていた。
舞美は、薪割りの反復運動で古い脳が活性化している状態の父に、キンモクセイの香
りで潜在意識を刺激しておく、という催眠をかけた。そして寺男(蟹沢以外)にキン
モクセイの花束をプレゼントしておく。父は、寺男のところに薪を運んでいくとキン
モクセイの香りに反応していきなり鉈を振り上げた。とっさに舞美は催眠を解く。
これを見た苫小牧は舞美の催眠の腕前に怯える。
 そんなことから、舞美は父母と妹を連れ戻すことに成功した。これで平和が戻った
と安堵したのだった。
Gしかしそれも束の間、またまた父母と妹はお寺の寺男に連れ去られてしまう。
 ところが舞美は内心、家族的な浄土宗はウザいが家族自体もウザい、と感じ出して
いた。
 方や、霊験あらたかな真言宗を唱える蟹沢には魅力を感じていた。蟹沢は「心頭滅
却して仏性を開放すれば、兄の霊とも接触できる」と言ってきた。そしてそういうセッ
ションをやる。
 大谷は、「洗脳されているんじゃないのか」と心配してきた。
H兄の初七日法要の日、竜泉寺の本堂で、父があろうことか、妹に襲いかかってきた。
しかし、金縛りにあって未遂に終わる。
 舞美は、苫小牧が父に催眠をかけて妹を襲わせたのだ、と思う。妹は兄の事故現場
を見ていたから、何かを思い出す前に始末されそうになったのでは、と。
I蟹沢が、舞美にも寺に来ないかと言ってきた。そうすれば家族を見守っていられる
し、亡き兄に接するセッションも又できるから、と。そして舞美は寺に行く。
J竜泉寺で護摩行の時に、なんと父が今度は舞美を襲ってきた。そしてこの時も父は
金縛りにあってことなきを得た。
 この災難の後、別室で休んでいると、母のスマホに長文のメールが届いた。それは
舞美が生まれた時に同じ病室だったHさんからの暑中見舞いだった。
その手紙にはこうあった。「出産の時にあの病室に居たのは、京子と保聡、舞美、H
さんとその子、蟹沢さんとその子。でも最初に蟹沢さんの子が亡くなって、続いて私
の子も亡くなった。そして保聡君まで亡くなった。残る舞美ちゃんは大切にして下さ
い」と。
 舞美は「その蟹沢とは誰だろう。寺男の蟹沢と関係があるのではないか。亡くなっ
た子供とは蟹沢の弟ではないのか」と推測する。
 舞美は、母からHの連絡先を聞いて電話する。すると、蟹沢さんの亡くなった子に
は歳の離れた兄がいるとのことだった。
 大谷は、こう推理をした。「保聡、舞美、Hさんの子、蟹沢の弟は同じ日に生まれ
た。ということは宇宙から同じ仏性がそれぞれの体に分割して宿ったのではないか。
そして17年後、蟹沢の弟が亡くなった。
しかし本来一つであった仏性の内4分の3は保聡、舞美、Hさんの子の中に残ってい
る。それで蟹沢の弟は成仏出来ないでいる。
だから、蟹沢の兄つまり寺男は、Hさんの子、保聡と殺して仏性を開放したのではな
いか。そして最後の一つ、舞美の仏性も開放する為に殺そうとしているのではないか」
と。
 ここで妹を脱催眠して「あの日、ホームにいたのは誰なのか」を言わせたら、苫小
牧ではなく寺男の蟹沢だと答えた。
K舞美は寺の裏山に蟹沢に会いに行った。そして「私を殺すために父に催眠をかけて
襲わせたのか」と問いただす。
 蟹沢は悪びれる様子もなく、そうだという。「ただ宇宙の根本原理に帰るだけだよ。
なんだったらぼくも一緒に死んでもいい」と。
 ここで、舞美も、それもそうだと思う。そして二人で死のうか、という運びになっ
た。
 ここで、先輩と苫小牧が現れて「舞美、君は洗脳されている」と言ってくる。
 舞美は驚くが、蟹沢は小刀を出すと舞美の首筋にあてた。
 ここで蟹沢は何故か金縛りに合い、舞美は救出された。
 舞美は、父や蟹沢の度重なる金縛りを、何か宇宙の根本原理からの仕業のようにも
感じたのであった。
L家に帰ってから数日たった或る日。舞美が風呂に入っていたら、突然金縛りにあっ
た。腕が勝手に上がって指が曇った鏡をなぞる。「天寿まっとうせよ」と描かれた。
兄の霊が自分に乗り移って書いたのだ、と舞美は思った。




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