AWC 身体の一部がクリトリス化する話 ぴんちょてあーの


        
#401/566 ●短編
★タイトル (sab     )  11/10/14  22:19  (128)
身体の一部がクリトリス化する話 ぴんちょてあーの
★内容
(これは高校時代の事を一部脚色したものです)。

夏休み前の或る日の事だった。
山田マキ(コギャル風)は机の上にあぐらをかいて下敷きでパタパタと胸元だの
スカートの中だのに風を送り込みながら「洗脳が解けた、洗脳が解けた」と丸で
エリカ様のような事を言っていた。
マキの前には子分格の女子3名がいたのだが、彼女らは椅子に座っていたので、
牢名主の話を聞いている受刑者の様に見えた。
マキは西荻窪に住んでいて吉祥寺のライブハウスでバイトをしたりしていて八王子の
田舎者にはちょっと眩しい存在だった。
この日より1ケ月ぐらい前の事だが、マキは何時もの様にバイトでライブハウスの
受付に突っ立っていた。
マキの立っている側からロビーを見ると、これから練習をする大学生のバンドの
メンバー5人がタバコをふかしていた。
その内の一人でチャットベイカー風リーゼントの男がトランペット片手に
「やっと治って吹ける様になってよかったよ」と言った。そしてペットの吹き口を
分厚いゴスペル唇に当てる。「危うく目に入って失明するところだったんだぜ」
「本当に治ってんだろうなあ」と他のメンバーが言った。「治ってもねぇのに
ペット吹かれたんじゃあヘルペス菌がスタジオ中に充満するんだぜ」
その会話を聞いていたマキはトランペッターの唇をじーっと見た。
何やらカサブタの様なものが出来ている。
「きったねッ」とマキは思った。「あの唇でどっかの汚い女とぶちゅぶちゅ
やったに違いない」
その晩自宅に帰るとマキは何時もより入念に体を洗った。
そしてシャワーで泡を流している時に、ヘソの下を見て「あれぇー」と思った。
ヘソと陰毛の間にうっすらとペニスの形をした湿疹が浮き出ていたのだ。
「なにこれー」。
翌朝、JR八王子駅を降りるとマキは学校へは直行しないで三崎町の雑居ビルにある
東八王子皮膚科を訪れた。
診察室でパンツをずらして患部を見せる。
メガネをかけた若い医者は触診もせずチラッと一瞥すると、カルテを書きながら
「ヘルペスだね」と言った。
「えッ」マキは目を丸くした。「それって、どうやってうつるんですか」
医者は「よっこいしょ」と言いながら本棚から分厚い医学書を取り出すとマキの前で
開いて見せた。ボールペンのキャップの方で或る箇所を指し示す。
マキが目を凝らして見るとそこには”特殊浴場”の文字が。
「えーーーー」マキは心の中で叫ぶ。「そんなの覚えは全く無いのに」
会計で金を払って処方箋を受け取ると、マキはがっくりと肩を落として
出口に向かった。
カウンターの内側にいる若い事務員に後ろ指を差されている気がした。
「そんなの覚えないのに」と心の中で呟くマキ。
東急スクゥエア12階の調剤薬局でチューブに入った塗り薬を受け取る。
8階のトイレに直行するとタンクの上にカバンを置いてスカートを口でくわえて
パンツを下ろすと患部に薬をすり込んだ。
学校に着いてもまずトイレに入って薬を塗った。
「とにかく早くなおさないと。こんなエロい形のシミがこんな所に残ったら…」。
そんな感じでその日は本屋だの駅ビルだのコンビニだの入れる限りのトイレに入って
薬をすり込んだ。
しかし夜になってシャワーを浴びる時には症状は悪化していた。くっきりとペニスの
形が浮き出ている。
翌朝目を覚ますと即パンツを下ろしてチェックしたのだが、その時には
どす黒ささえ帯びてきていた。
「はぁ〜〜」。泣きたい気分になりつつも、カバンに手を伸ばすと塗り薬を
取り出す。しかし昨日の内に使い切ってしまっていていくら絞っても出てこない。
その日も八王子に到着すると三崎町の皮膚科に向かったのだが途中でふと、
「京王八王子の前にも皮膚科があったなあ」と思い出した。「セカンドオピニオン
とかいうのが流行っているからあっちに行ってみようかなあ」。
という訳で京八前の循環器科皮膚科という妙な組み合わせを診療科目にしている
クリニックに入ると診察室でパンツをずらした。
「こんなになっちゃったんです」
「ふーむ」とジジイの医者はメガネをずらしてしばらく観察してからカルテに
向かった。「ヘルペスなんていうのはねぇ、子供の頃にハシカでもやっていれば
誰でもなるんだよ。体の中に菌が残っていてね。それにこんな強い薬を塗ったら」と
昨日もらった薬をマキの目の前にかざした。「ただれてしまうよ。こんなのは水虫に
塗る薬だよ。もっと軽いローションでいいんだよ」
そんでその医者でもらったローションを塗ってから4、5日経った朝、
ベッドでパンツをずらして見てみたら治っている、綺麗に消えている。
「やったぁ〜」。
思わず頬の筋肉がこわばり涙が滲み出てくるのが分かった。
しかし、ヘルペスは痕を残さずに綺麗に消えたのだが、パンツが擦れるとひりひり
した。
その日の夕方、マキは久々に吉祥寺のライブハウスに行った。
ロビーに行くと防音ガラス越しにスタジオの中が見えるのだが、なんとあの
ゴスペル唇がトランペットを吹きまくっているではないか。
「彼を疑って悪い事したなあ」とマキは思った。しばらくガラス越しに彼を見ていて
それから受付に戻ったのだが、歩くとパンツが擦れてひりひりする。
受付で立っていてもジーン、ジーンとする。その熱をもったようなうずきに
スタジオの中のトランペットの響きが重なってくる。ヘソの下を
ゴスペル唇が”ぷ〜〜、ぶぶぶぶぶ〜ーーー”と吹きまくっている妄想に襲われた。
やがて練習が終わりメンバーがスタジオから出てくる。
そしてゴスペル唇が受付の方にやってきた。「灰皿、貸してくれる?」
はっとして彼を見た。凄い唇。黒人みたい。どきどきする。あー恋かも知れない。
「あのー」マキは言った。
「ん?」
「唇はすっかりいいんですか」
「ペット吹きの命だからな」と言うと彼は指2本を唇にあててぶーっと吹いて
みせた。
「実は私…」。あーどきどきする。どきどきしながら「実は、私、
疑っていたんです」とマキは言った。
それから彼女は一部始終を話してしまった。
その晩二人は吉祥寺のラブホテルにしけこんだ。
マキを仰向けに寝かせると逆肩車の体勢で太股を両肩に乗せて、
ゴスペル唇はヘソの下を思いっきりすった。
「はぁ〜ッ、うわぁ」とため息を漏らすマキ。「あの唇が本当に私のあそこを
吸っている」
一発終わった後でゴスペル唇が「なんかこう、おめーって」といきなりおめー
呼ばわり、「おめーを吸っていると、ちんぽがあってもよかったんじゃないかって
思えるよ。つーか、ちんぽが無いのがけなげだなあ、って感じで、
それを感じる為に吸っているって感じ?」と訳の分からない事を言う。
しかし、それからは会う度に求められるのであった。
それから4、5日してマキは京八前のクリニックに行った。
「せんせー」と診察室のマキ。「ローションがなくなっちゃった。
あと、帯状疱疹の痕がひりひりするんですけど、これってどうにかなんない?」
しかし医者はマキの方は見ないで「うーむ」と唸りながらカルテを睨んで
いる。「前回やった血液検査で性感染症とかは全部いいんだけれども、
甲状腺機能の値がちょっと高いんだよね」
「えっ。なんですかそれ。目がぎょろったりするやつ?」
「いやいや、そんなんじゃないけれども。しかしドキドキしたり
イライラしたりしない?」と言って老医師はメガネをずらしてマキの顔色を見た。
そういえば…、とマキは思った。ゴスペル唇に会ってドキドキするのは今までにない
ドキドキ感だよな。「そういえば、時々動悸がする気が」とマキは言った。
「とにかく、甲状腺機能の値を元に戻す薬と、神経症状を抑える薬を出して
おきましょう」と言うとすらすらすらと処方箋を書いた。
その薬を服用してから二日後、何時もの様にマキはライブハウスの受付に
立っていた。
自動ドアが開いてゴスペル唇が入ってきた。
マキは一瞬「誰?あの芋兄ちゃん」と思った。「ペットのケース担いでいる
けれども、あんな芋ペッター、見た事ない」


「という訳でさぁ」と教室のマキは下敷きをパタパタ
やりながら言った。「本当にチャットベイカーが豆腐屋のおっさんになっちゃうん
だよねえ」
3人の子分は足をばたばたさせて受けた。
「お前らも変なところ開発されんじゃねーぞ」とマキ。
「了解〜」と子分達は言った。

おわり





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