#212/569 ●短編
★タイトル (dan ) 04/11/07 06:24 ( 49)
めぞん一刻 談知
★内容
高橋留美子の漫画「めぞん一刻」にはまっていたことがある。と
いうか今現在でもはまっている感じである。
ワタシはこの漫画をリアルタイムでは読んでいない。確か198
5年くらいから連載されていたはずだが、このときは、ワタシは精
神病で入院していて、漫画を読むどころではなかった。そんなこと
もあって、ワタシがこの漫画を知ったのは、それから10年以上も
あとのことだろう。
平井和正の「めぞん一刻」について書いた本を古本屋で買ってき
て、それをみて読む気を起こしたのだと思う。何しろ平井和正のあ
の語り口でめぞん一刻を絶賛してたので、それなら読んでみるかと
思ったのだろう。
めぞん一刻10巻本を一気読みした。面白かった。登場人物もそ
れぞれユニークで面白かったが、特にワタシは主人公の五代祐作に
感情移入することができた。どじでとんまで、そのくせ妙に純情で、
女性にうぶな五代君。あれはもろ若き日のワタシそのものではない
か。血液型まで一緒だもんな。彼はA型という設定になっている。
若いときのA型そのものの性格だな。よくここまでA型の性格を描
けたなと、高橋留美子の才能に驚嘆する思い。彼女はこのときまだ
20代じゃなかったか。
東京のどこかの市にある下宿屋めぞん一刻。ここの管理人の女性
と下宿者たちの物語。管理人の響子さんと五代祐作のややこしい関
係が物語の中心である。最初は喜劇っぽく始まったこの作品だが、
進むにつれて、このふたりのラブストーリーがメインの物語になっ
た。
ふたりの関係はすんなりいかない。ライバルの存在もあるが、何
より、この下宿の者たちの邪魔がすごい。実にみごとに誤解を生じ
させる。その誤解でふたりは衝突する。くっつきそうでくっつかな
い。そのいらいら。何とかせいよ、とかいいたくなるじれったさ。
でも、昔の恋って、そんなもんだったんだよね。
結局この物語がこんなに長く続くのも、五代祐作の自信不足の結
果なんだよね。自分をがんと押し出して、響子さんにぶち当たれば、
それで恋は成就するのだろうが、自信がないのでできない。このあ
たりワタシにはよく分かる。どの血液型もそうだろうが、特にA型
は自信があるかどうかが決定的に行動にひびいてくる。女性におど
おどするのも自信がないからである。
ワタシもそうだったなあと思う。こんな男じゃなあと思って好き
な女性にも声もかけられない。自分が情けなくて泣きたい気分だっ
た。だから五代君のおどおどする感じがよくわかるのである。
何年もおどおどし続けて、やっと五代君は響子さんと結ばれる。
そうしてやっと彼も男として自信がもてるようになったようである。
それまでとは別人かと思うほど余裕のある態度になった。
ワタシも覚えがある。好きだった女性が、彼女もワタシのことが
好きなんだと分かった瞬間から、ワタシは生まれて初めて自分に自
信を持つことができた。オレは男なんだと自覚することができた。
自信のないA型から自信のあるA型に変わることができた。性格が
変わったのかというくらい変わってしまった。
この五代君と響子さんの物語は、ワタシ自身の物語でもあるのだ。
五代君はワタシである。だからワタシにとって忘れられない物語な
のだ。