#92/569 ●短編
★タイトル (yiu ) 03/05/31 08:18 ( 25)
幸せの青い鳥はもう飛ばないから。 滝ノ宇治 雷華
★内容
珍しく、昔仲の悪かった----------`そいつ`と帰ることになった。
`そいつ`と`僕`は昔、たった一人の、あいつを愛したライバルだった。
「そういえば、あいつのこと、覚えている?」
僕は、恥ずかしそうに言う。
「あぁ。あいつ?覚えているよ。」
そいつは淡々と続ける。
「あいつとはさ。古橋と藤原にハメられて、あいつと春日部で二人きりにされちゃって
さ。」
「あとは・・・・、古橋と藤原とあいつで勉強したりとかしたんだ。他には・・・・。
散歩したりしてね。」
そいつの口から出る、「あいつ」の姿は僕の知らない、「あいつ」だ。それに変わっ
て、僕は「うらやましいな。」の単語を繰り返しながら、「あいつ」への想いが湧き上
がり,涙を隠せずにはいられない。
「そろそろ6時だ。帰んなきゃ。」
別れの先手を打ったのはそいつだ。
「じゃーねー。」
そこには「僕」の知らない「あいつ」がいて。
悔しかった。
切なかった。
薄暗い闇のなかで、「僕」は詩人のようにつぶやく。
「あの、幸せな、あいつがいた日々はどこへ飛んでいったのやら。」
「僕」は歩き出す。とびっきりの笑顔で。