#123/598 ●長編
★タイトル (hir ) 02/12/04 01:40 (183)
南総里見八犬伝本文外資料19 伊井暇幻/久作
★内容
八犬伝第九輯巻四十六簡端附言
本編の題目は先板巻の四十五までの総目録の下に夙く附出せしはいかで看官に結局まで
の趣を知らせまく欲しし僻所為にて彼六回は当日腹稿の大概を挙たるのみ。其後本編を
編るに及びて予思ひしより長くならざることを得ず。然ども一巻毎に定数ありて作者の
自由に做しかたければ已ことを得ず一回を釐て或は上下或は上中下とい二回三回に分ち
て其数に合せたり。抑一回を釐て二回三回に做すことは唐山の稗史小説にこの例なし。
只源氏物語に若菜の上下ありといへども本伝は源語に倣はず。専唐山の稗史に憑る兀自
文渓堂の性急にて半冊稿じ畢れば随て奪ひ去りて浄書▲(厥にリットウ)人の手に逓与
す故に後に至りて不都合なきことを得ず。先刊刻なる所の五巻を発販せんとていそがる
れば這簡端の余紙にしも事情を略記してもて其責を塞ぐ而已。
天保十二年辛丑秋長月之吉
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百七十七回
「一顆の智玉途に一騎の驕将を懲す 四個の保質反て両個の保質を捉る」
附録目「建柴の道場に毛野守如の墓に謁す 湯嶋の茂林に道節三隊の敵を破る」
敗将頭髻を切てみづから首級に易
さくわん・葉四郎・さる八・のりかた・定正
大茂林浜に海苔七音音を救ふ
おとね・のり七・のり七女房
五十子の城に四勇婦大功を成す
もち九郎・おと祢・わざ太郎・ひくて・はこ姫・ひとよ・妙しん・河堀殿
智玉長く駆て敵城を抜く
みやつかへの女ばう・つな坂四郎・のりかた・かたむね・友かつ・妙しん・とよとし・
けの・おと祢・たかむね
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百七十八回上
「有種恥を雪て郷党を復帰す 丶大水陸に衆鬼を済度す」
道節途に三城の残兵を破る
きよひで・あけすけ・道節・ざつき・阿太郎・やちう二・くろ四郎・りきん太・あさ
市・ぎよらん二
有種豪荊夜忍岡の城を抜く
かうけい・ありたね・かうせい・かうてき・せんさく
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百七十八回下
「里見の諸将士稲村に凱旋す 安房侯博愛隣国の窮民を賑す」
水陸道場施餓鬼の功徳窮民冤鬼抜苦与楽す
は四郎・かたむね・さる八・大ぜん・しの・しん兵衛・ちゆ大・さう介
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百七十九回上
「照文帰東して房総福多し 東西和睦して両国津を開く」
十二敗将稲村の城に幽せらる
もりさね・よりみつ・のりしげ・たねひさ・ためかけ・よしたけ・よしあつ・ともや
す・よりたね・のりふさ・なり氏・ともよし
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百七十九回中
「義成十二敗将に面ず 助友秘封一匣を受く」
稲村の城に義成勅使諚使を迎ふ
しらはま十郎・あさひな三弥・七らう二郎・さい太郎・法六郎・まし松・代四郎・なり
介・しけとき・もえ三・かひ六郎・たかつぐ・さだゆき・はやとも・きよすみ・なほも
と・ときすけ
其二
けん八・よしみち・しの・とうせつ・しん兵衛・よしなり・小文吾・さう介・てるふ
ミ・大かく・けの・ひろまさ・なほちか
★此処での犬士の紋は、親兵衛が「杣」字、信乃が五三桐、道節が左向き揚羽蝶、現八
が「犬」字、小文吾が「古」字、大角は蔦、毛野は月星、荘介は篠だが篠竜胆にも見え
る
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百七十九回下
「戍孝孝を全して故君に別る 孝嗣義に仗りて旧主に辞ふ」
四犬女功成りて衛を両夫人に解く
ひく手・ひとよ・おとね・妙しん・かハほりどの・かしづきの女ぼう・はこひめ
孝玉孝を全ふして遺訓を果す
犬つかしなの・もちみ一郎・しなかハ七郎・なり氏
理義を詳にして孝嗣故主に辞ふ
伴わかたう・のりかた・しもべ・ともわかたう・しもべ・しもべ・たかつぐ・ともわか
たう・たねとも・すけとも・はるたつ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百八十上
「一姫一僧死生栄貴を等くす 孝感力芸詠歌奇異を賛す」
金蓮寺の門前に戍孝局平に逢ふ
つぼ平・ただとも・もりたか・まさのり・まさし・やすより・ちゆ大・のぶみち・よし
たう・たねとも
拈華庵に悌順勁力を見す
あん主・あま・犬村・犬田・犬阪・つぼ平・犬飼・犬川・てる文・犬塚・犬江・犬山
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百八十中
「義成功臣を重賞して八女を妻す 初段」
富山姫の神遷座行列
ちゆ大・大かく・げん八・とうせつ・ぶんご・さう介・しん兵衛・しもつけ・しなの
(幟二本に「富山姫御祭礼」)
〈英泉〉
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百八十下
「義成功臣を重賞して八女を妻す 後段 信隆旧城に還任して罪過を免る」
翠簾を隔て八犬士赤縄を援
のぶみち・やすより・まさのり・よしたう・ただとも・もりたか・たねとも・まさし・
清すみ・ときすけ
★此処での犬士の紋は、信乃が五三桐、道節が正面揚羽蝶、荘助が雪篠、小文吾が「
古」字、現八が「犬」字、大角が蔦、毛野が月星、親兵衛が「杣」字
其二
八小姐天縁良対を得ぬる処
ろう女・ひなぎ姫・きのと姫・しづを姫・竹の姫・いろと姫・をなみ姫・しをり姫・は
まぢ姫
★思い沈む浜路と、そんな浜路を振り返る鄙木。「其の一」に於ける、見つめ合う信乃
と大角、に対応する。此の二組に就いては、天の采配以外の何者でもない。引き離され
た者達は、姿を変えてでも、再び巡り会わなければならない
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百八十勝回上
「狐竜化石を貽して丶大蝉脱す 八行璧を反して八行十世に伝ふ」
附録目 此段不釐回 但有附録目已
「信隆宗盈古江に孝嗣に逢ふ 政木大全論弁和漢を引く」
金光寺の門前に狐龍正覚を示す
たかつぐ・のぶたか・畑なつ作・江田宗みつ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百八十勝回中
「延命寺に義成牡丹花を賞す 富山の窟に念戌遺題の歌を見る」
義成延命寺の書院に牡丹を観る
まさし・ちゆだい・たねとも・まさのり・のぶみち・よしなり・ねん戌・よしたう・も
りたか・やすより・ただとも
★此処での犬士の紋は、親兵が「杣」字、毛野は月星、大角は蔦、現八は「犬」字、荘
介は雪篠、信乃は桐、小文吾は「古」字、道節が正面揚羽蝶
丶大を▲(ソウニョウに干)て親兵衛念戌富山に到る
しん兵衛・ねんじゆつ・ちゆ大・ふせ姫神
★岩戸の句は本文にもあり。伏姫を四天王が取り囲み守護している
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第百八十勝回下 大団円
「犬士退隠して天命を楽む 諸将の得失其尾を備にす」
後の八犬士倶に父の山居を訪処
犬田小文吾・犬飼げん吉・犬村角太郎・犬川かく蔵・犬阪毛の・犬山道一郎・犬塚し
の・犬江しん平
八犬仙山中遊戯図
犬村老仙・犬阪老仙・犬川老仙・犬塚老仙・犬江老仙・犬田老仙・犬飼老仙・犬山老仙
〈英泉〉
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
回外剰筆
「頭陀枕中を話説す四十八城 稗史本伝を大成す二十八年」
里見十世十将綉像
第一義実よしさね・第二義成よしなり・第三義通よしみち・第四実尭さねたか・第五義
豊よしとよ・第六義尭よしたか・第七義弘よしひろ・第八義頼よしより・第九義康よし
やす・第十忠義ただよし
安房国名所図
画工英泉安房に遊歴せし日に写し得たりといふ真景是なり
頭陀二たび著作堂に来訪す
廻国ずだ
★額に「仁者寿 隆生」、掛け軸にある「写し見たる鏡に親のなつかしきわか影なから
かたみとおもへば 作者旧詠 董斎書」は、秀句