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★タイトル (AZA ) 16/09/30 20:59 ( 23)
本の感想>『みんなの少年探偵団2』 永山
★内容
・『みんなの少年探偵団2』(有栖川有栖他アンソロジー ポプラ社)16/5551
怪人二十面相が脱獄した直後、ラジオ番組に未来人Fと名乗る怪人物が電話出演し、
未来のことを予言し、的中させた。さらに国立博物館から国宝を盗むと宣言する(「未
来人F」)。ロマノフ王家に伝わる宝石を狙って、二十面相から予告状が。その宝石は
持ち主によって鑑定に掛けられ、偽物とされているのだが(「闇からの予告状」)。人
間兵器として極秘に研究開発されてきた溶解人間。その実験体にされた男が、復讐のた
め、研究者らを襲う?(「溶解人間」)
乱歩が生み出した少年探偵団と怪人二十面相の活劇譚を、現代の人気作家達が思い入
れたっぷりに描く、競作アンソロジー。
現代の推理作家が書くのだから荒唐無稽な色彩は弱まり、曲がりなりにも現実的にけ
りが付く話が揃うんだろうなという期待の元、読み始めました。実際、ほぼその通りで
よかった。
ベストは、上述の粗筋では触れなかった歌野晶午「五十年後の物語」でしょうか。ネ
タバレになりますが、大胆な○○トリックがきれいに決まってます。読んでいて気付く
ことは気付きましたが、正面切ってやられると心地がよい。
乱歩らしさが出ているという観点で選ぶと、「未来人F」と「溶解人間」かな。ただ
し、前者は終盤、メタな方向に流れます。この手の遊びは、好き嫌いが分かれるかも。
原典の乱歩による少年探偵団・二十面相物を読んだことのない人でも楽しめるでしょ
うが、読んでいないと分からないネタもちらほらあります。そういった点は抜きにし
て、本書を読んでから原典に入る人は、原典にどんな感想を持つのか、興味あるなあ。
ではでは。