AWC “犯人”を探せ   永山


        
#8964/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  16/07/04  20:52  ( 32)
“犯人”を探せ   永山
★内容
 スカパー!開放を利して、チャンネル銀河放送の松本清張ドラマ「愛の断層」を録画
視聴。ネタバレ注意です。初回放映は一九七五年、NHK。
 タイトルが俗っぽいというか、二時間サスペンスみたいで、それでいて内容をそのま
まずばり表しているという、松本清張らしからぬ題名。と思ったら、原作は違う題名―
―『寒流』でした。
 新しく銀行の支店長になった男が、挨拶回りの最中、料理屋の女将と知り合い、何と
なくいい雰囲気になるも一線は越えず。男と同じ大学出身で同期である常務が、女将に
目を付け、支店長に料理屋への融資話を反故にさせた上で、女将と一席設ける約束を取
り付ける。その席で、女将を無理矢理ものにしてしまう常務。支店長の男は嫌悪感を抱
きつつも、このときは何もできなかった。後日、常務に雇われている探偵が男に接触し
てくる。探偵は、常務と女将の逢い引き写真を持っており、男に「自由に使ってくれ」
と渡す。男は一計を案じ、常務を女将から手を引かせようとする。
 ――粗筋はこんな具合ですが、何だかちっとも推理物っぽくないぞ。結局、殺人の類
は起きませんが、男と女の間に、深い断層があることが明らかになり、写真が元になっ
て男がマンション高層階から転落死するという、悲劇的かつある意味喜劇的な結末を迎
えて終わり。
 ラストシーン、葬儀を終えたあとの自宅で、男の遺影が移るのですが、最後の最後で
その口元が動いてにやっと笑います。NHKっぽくない、世にも奇妙な物語的なホラー
エンドですが、そもそもこの内容で何で男が笑うのやら?
 あと、冒頭からしばらくして出演者がテロップされるのですが、その中に、役名「犯
人の男」というのがありました。当然、何らかの犯罪が起きるのだと考えましたし、倒
叙推理でもないのに犯人の役者を早々と教えるとは珍しいなと思ったです。ところが上
述のようなストーリー展開で、明白な犯罪と言えば常務による強姦ぐらいですが、常務
を演じた役者と「犯人の男」の役者は別人です。はて、これは一体どういうことだと、
最初から見直そうとして、はたと気付きました。
 途中で、銀行での抜き打ちの防犯訓練シーンがあり、そこに暴漢役の男が登場しまし
た。この人物こそ、「犯人の男」です。だったら、テロップは「犯人役の男」とすべき
ですが、本ドラマを観て一番面白かったのがここでした。
 あ、タクシー運転手役で、松本清張が出ていました。容貌はごつくて凄く特徴あるの
に、声、小さい(笑)。

 ではでは。





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