AWC 本の感想>『二歩前を歩く』   永山


        
#8913/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  16/05/17  00:48  ( 22)
本の感想>『二歩前を歩く』   永山
★内容
・『二歩前を歩く』(石持浅海 光文社)13/4441
 帰宅すると、スリッパが一歩ずつ奥に進んでいる。ぶつかりそうになる遙か手前で避
けられる男。壁紙の下に亡き妻の髪の毛を塗り込めた男。朝風呂のあと消したはずの電
灯が何故か点けっぱなしに。ガソリンがいつの間にか増えている車。逆立つホーステー
ルの美女……。現代科学では説明の付かない出来事のルールを探せ。それさえ分かれ
ば、謎は解ける?
 登竜門受賞作家が贈る、ホラー風味のロジック小説短編集。

 作者は本格推理の人だし、粗筋からてっきり、一風変わった本格推理短編集なんだと
思って読み始めましたが、さにあらず。“存在しないことが証明されない内は、幽霊が
いてもおかしくない”“完全に否定されない限り、超常現象が起きても不思議じゃない
”てなスタンスの理系人間・小泉を探偵役に据えた、ホラーありきのロジック小説でし
た。本格推理ではなかったのは残念でしたが、まあ、これはこれで楽しめたのでよしと
します。
 編中では「四方八方」がベストかな。推理小説の香りを残しつつ、ホラーに振り切る
展開がよい。「一歩ずつ進む」は、当事者にとっては充分に想像が付くだろうから、成
り立たないような気も。「二歩前を歩く」は、途中で何となく結論が見えてしまった。
「五カ月前から」は、語り手の隠し事が多すぎるかな。「ナナカマド」はいい話なのか
そうでない話で行くのか、ある意味、リドルストリー的な終わり方をしたとも言えそ
う。「九尾の狐」は完全に“いい話”。読後感ではこれをベストにしてもいい。

 ではでは。





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