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★タイトル (AZA ) 15/03/20 22:24 ( 28)
本の感想>『落日のコンドル』 永山
★内容
・『落日のコンドル』(霞流一 早川書房)14/6332
暗殺を生業とする殺し屋集団「影ジェント」は、どんな依頼でも請け負う。
今回、峰久保らのグループが受けたのは、豪華客船のオーナー殺し。牙留島光
をその客船のテストクルーズ中にやるのだ。ただし、簡単にはいかない。牙留
島光の方も、影ジェントに依頼をし、守りを固めているのだ。また、牙留島光
の左手首を影ジェント本部に届けた者が特別ボーナスを受け取れるとあって、
仲間同士でも信用ならない。
無関係の船員達を眠らせた船内で、殺し屋同士の対決は必至の状況下、行動
を開始した峰久保ら十人のグループだったが、いきなり一人が死体となって見
つかる。加えて、自動操縦の客船は天候悪化により、六時間後の座礁がほぼ確
実と分かった。そこへ現れたのは、腕利きの殺し屋・コンドル三兄弟。彼らの
空中殺法に、峰久保らは大苦戦。タイムリミットまでにターゲットを殺害し、
その左手首を手中にするのは一体誰だ?
こうやって書くと、非現実的なアクションがメインの物語のように思えるで
しょうが、どうしてどうして、きっちり本格ミステリの展開になります。そし
て、バカミスと称して差し支えない、とんでもトリックも炸裂します。だまさ
れたと思って読んでみて、だまされてください(笑)。
ただし、文章は好き嫌いがはっきり分かれそう。決して巧いとは言えません
し、やたらと繰り返したり説明的だったりと、癖があります。しょーもないギ
ャグも満載です。それらを辛抱して、最後まで読む価値は、まああると思いま
すが。
一箇所、気になったのは、殺し屋のメンバーの一人が、一時的に全く描写さ
れなくなる点。記述者役でもある峰久保のメモからさえ抜け落ちていて、何ら
かの叙述トリックが仕掛けてあるのかと警戒したのですが……どうやら何もな
かった模様。紛らわしいというかミスだとしたら、早く直してほしいもんです。
ではでは。