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★タイトル (AZA ) 14/04/26 21:49 ( 23)
本の感想>『高原のフーダニット』 永山
★内容
・『高原のフーダニット』(有栖川有栖 徳間書店)12/4440
淡路島で起こった殺人。容疑者にはいずれもアリバイらしきものがあり、な
かなか崩せそうにない。犯罪学者で警察にも協力している火村英生と推理作家
の有栖川有栖は、調べを進める内に盲点と言える事実に着目する(「オノコロ
島ラプソディ」。)有栖川有栖が立て続けに見た夢の数々。それは不思議と幻
惑に溢れていて(「ミステリ夢十夜」)。兵庫県の高原で、双子が相次いで殺
される。それに先立つこと数時間、火村英生は双子の兄から電話を受けていた。
かつて、殺人容疑を掛けられた双子を救ってやった縁があったのだが、電話の
内容は「弟を殺してしまった」というものだった(「高原のフーダニット」)。
著者初のミステリ中編集。
うーん、弱い。ミステリの作品集としては、核となる作品がなく、弱い。普
通、表題作がその役割を担うはずですが、タイトルにフーダニットと入れてい
る割に、犯人当てっぽくない。フーダニットという言葉から、ミステリ好きが
期待するものは大きいと思うので、これは肩すかし感を増幅させてしまいそう。
「オノコロ島ラプソディ」は、冗談みたいなトリックが炸裂する、ある意味で
バカミスに分類できるかもしれない。ただ、書きっぷりがバカミスのそれじゃ
ないので、何とも微妙な出来映えに収まっている感じです。「ミステリ夢中夜」
は、短い話を十編連ねたもの。短編にしきれないアイディアを、そのまま書い
てちょっとオチを付けたようなものが多く、軽い印象。
そういう訳で、物足りなさが残る作品集でした。
ではでは。