AWC 本の感想>『メルカトルかく語りき』   永山


        
#7480/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  12/12/27  21:47  ( 26)
本の感想>『メルカトルかく語りき』   永山
★内容
・『メルカトルかく語りき』(麻耶雄嵩 講談社ノベルス)16/6352
 一年前に起きた同級生の変死。未解決のままの事件を解決してもらおうと、
高校生達は伝を辿って、メルカトル鮎に依頼する。新たな事件が起こる中、名
探偵ならぬ銘探偵の彼が披露した解決とは(「死人を起こす」)。作品の保存
された美袋のハードディスクをクラッシュさせたメルカトルは、新しいネタ
を提供してやると言い出し、発生したての殺人を嗅ぎつけた。それは単純な事
件と思われたが(「九州旅行」)。祝福の書を取り戻して欲しいとの依頼を受
け、メルカトルと美袋は、新興宗教の五人が共同生活を送る島を訪れる。折し
も、嵐になった夜、連続射殺事件が幕を開ける(「収束」)。高校内で殺人発
生。アニメオタクで知られる物理教師が、理科準備室で死んでいた。容疑は居
残っていた生徒二十人に。そこから論理的に絞り込んでいくと……(「答えの
ない絵本」)。
 麻耶雄嵩の放つ、問題作揃いの短編集。

 ミステリをそこそこ読み込んできた人なら、事前情報を何ら耳に入れず、読
むのが最良でしょう。この趣向で、これだけの作品をよくぞ並べられたなと感
嘆する可能性大。本来、ロジックは本格ミステリの大きな武器であり、味方の
はずなんだけど、この短編集はロジックで本格ミステリを刺している。シュレ
ディンガーの猫をミステリでこんな風に扱うのも、思い付きそうで思い付かな
い領域ではないかな。
 内容以外で感心したのは、文章がだいぶまともになっていたこと。前は、筆
が滑ってる感じで、引っ掛かる表現がやたらと多かった。それに比べたら、と
ても読み易い。まだまだ変なとこは残ってるけど。
 これなら、この作者の他の作品も読みたいと思わせるものがありました。

 ではでは。





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