#7261/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 12/06/30 17:31 ( 21)
読まずに言えるか! 永山
★内容
『第三の女』(夏樹静子 集英社文庫)を読了。ネット古書店で四十二円で
購入した物。ドラマとの比較を念頭に感じたことをつらつらと。
ドラマと比べると、やはり書き込み具合が違う。特に冒頭、見知らぬ男女が
あっという間に肉体関係を持つまでに到るシーン、ドラマだと絵空事に過ぎる
浅薄さが前面に出ていたのに、この原作では心理をしっかり描き込んで、それ
なりに頷ける流れになっている(それでも肉体関係には到らないと思いますが
ね)。
終わらせ方も、ドラマと原作では少し違う。好みの分かれるところでしょう
が、ドラマは逃亡劇と勧善懲悪に焦点を絞ったのに対し。小説の方は皮肉を効
かせていた。
主役の男の“とほほ”さはドラマも原作も同じでした(笑)。「暗闇の中で
知り合い、顔も知らぬまま肉体関係を持った相手」とは通じ合っているから、
手掛かりがなくても一目見ただけでぴんと来る!と自信満々なんですが、実際
には、迷ってばかり……。
あと、この作品に以前触れた際、原作未読らしいのに原作を駄作と決め付け
るネット批評に言及しましたが……その批評で論われていた欠点のほとんどは、
ドラマ化に際してのアレンジ(改悪)であり、原作小説ではちゃんと処理され
ていることを確認。傑作とは言えなくても、この原作ならフランス犯罪小説大
賞をとっても、まあおかしくはないかなと思えるレベルでした。
ではでは。