AWC 本の感想>『奇蹟審問官アーサー 死蝶天国』   永山


        
#7195/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  12/05/13  21:53  ( 26)
本の感想>『奇蹟審問官アーサー 死蝶天国』   永山
★内容
・『奇蹟審問官アーサー 死蝶天国』(柄刀一 講談社ノベルス)17/5552
 その千里眼で人々の悩みを聞き、解決してきた若い女性が、密室状態の小屋
の中で、死体となって発見される。大きな針が頭部に刺さっているという異様
な状態で(「死蝶天国」)。自然現象による“獣の咆哮”を聞くために、アル
プスの洞窟を前に建つ館を訪れた一行に、奇怪な出来事が降りかかる。霰の積
もった外階段に、正体不明の足形らしき痕跡が浮かび上がり、誰も出入りして
いないはずの離れでは、館の主が銃で撃たれて死を迎える(「魔界への十七段
歩」)。教会の神父が死んで数日後、大雨によって墓地が崩れ、遺体が露わに
なる。それは、まだ生きているかのような状態にあり、額には茨の冠を思わせ
るあざ、右脇腹にはロンギヌスの槍で突かれたような傷ができていたため、奇
跡だと噂される。前後して、死者が動き回り人を襲い、喰らうという情報も相
次いでいた(「聖なるアンデッド」)。
 世界各地から報告される奇蹟の真偽を見極めるべく、派遣されたアーサー神
父が、“超常現象”と怪事件を解き明かす。

 凝りに凝ってる、サービス精神旺盛な短編集というのが第一印象。この作者
の長編は、やや中だるみするきらいがあったように思うのですが、短編集だと
その難が払拭され、よい方向に作用している気がします。トリックは基本的な
物が多いのですが、応用・使い方がうまい。また、宗教をメインとした装飾も
巧みさを増している感じですね。本当に奇蹟だったというケースの紛れ込む余
地を示しておくと、もっと読者を翻弄できると思いますが、この辺りの匙加減
は結構難しいところかもしれません。
 主人公のアーサーは若くて美貌の持ち主だそうですから、短編の数が溜まれ
ば、アニメ化されてもおかしくないような(笑)。

 ではでは。





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