AWC 本の感想>『インシテミル』   永山


        
#6923/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  11/11/01  21:01  ( 26)
本の感想>『インシテミル』   永山
★内容
・『インシテミル』(米澤穂信 文藝春秋)16/6541
 アルバイトを探していた大学生の結城は、コンビニエンスストアの書棚の前
で見知らぬ女性から声を掛けられる。アルバイトについて詳しくないので教え
て欲しいという彼女と話す内に、バイト情報誌に“時給一一二〇百円”の表記
を見つけるも、時給十一万二千円なんてあり得ない、誤植だと決め付けた。だ
が、結局は応募してしまう。それは参加者同士の命を賭して行うゲームへの入
り口だった。
 そこかしこに現れるミステリのお約束と、それらをほとんどスルーする面々。
アンチミステリと本格ミステリのせめぎ合い。最後に示される解決は。

 本作は一般的には、青春ミステリの騎手が満を持して放つ本格ミステリ、と
いう風な位置づけをされることが多いですが、読んで観た第一印象は、無理し
てるなと。同じ作者の青春ミステリに比べると、キャラクターや鋭さが光って
いない。
 とはいえ、あくまで比較しての話で、本作だけを見ればそれなりに楽しめる
出来映えです。作者が何をしたかったのかが分かるし、仕掛けに相当な工夫を
払っていて、好感が持てる。伏線を複数敷いている点も、いいですね。
 ただ、一部の設定が作者のための設定になっていたり、提示されるルールの
文言が甘かったり、あるいは肝であるロジックに弱点が見られたりと、あと少
しの詰めが足りなかった感があり、惜しい。
 あと、動機を数で推理するのが目新しかったように思います。もちろん作中
で指摘される動機がなくても、単なる偶然でこうなったという可能性も排除は
できませんが、他の諸々との合わせ技で犯人特定に持って行く流れは、面白く
感じたし、引き込まれました。

 ではでは。





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