#6343/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ *** コメント #6341 ***
★タイトル (AZA ) 10/10/27 13:47 ( 29)
犯人視線で進むミステリ> 永山
★内容
それって、倒叙物(犯人が早い段階から読者・視聴者に明らかにされている
形式)を含まずにってことでしょうか?>泰彦さん。
仮に、犯人を伏せたまま犯人視点で描かれるミステリだとして。
犯人の視点を取っているが、単に犯人の名前が不明なだけという形式はとり
あえず除外しますと……。
まず、海外古典の長編が思い浮かびます。ちょっとした省略をすることで犯
人視点の趣向を成立させますが、この省略をアンフェアだ、弱点だと見る向き
もあり。
被害者を死に至らしめる行為を、犯人自身が認識していなかったという手法
もありますね。安易なやり方だと多重人格とか。もっと技巧を凝らしたフェア
なやり方ももちろんあります。
それ以外で、ぱっと思い付く犯人視点の作品(その趣向)というと……。
・本の帯などで犯人を明らかにした上で、犯人視点を部分的に取りながら、最
後に犯人の正体に関することであっと言わせる。
・ドラマの倒叙ミステリで、視聴者は犯人の顔は見せられたにも拘わらず、犯
人が分からない(犯人が一卵性双生児の片割れであるため)。厳密な犯人視点
ではありませんが、描き方を変えれば可能。
・読者に、時間軸などに関する錯誤を生じせしめ、犯人の視点と気付かせない。
・“条件から明らかに犯人でない人物”に極めて密接する立場の人物が犯人。
“明らかに犯人でない人物”の視点で描写している風を装う。
こんなところかな。もっと有名な作品を忘れている気がする(汗)。
ともかく、犯人の視点を取ってもお話が台無しにならないよう、工夫を凝ら
した作品が結構あるのは間違いないです。
ではでは。