AWC 読書感想>「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」守屋


        
#6278/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (mor     )  10/09/15  12:04  ( 19)
読書感想>「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」守屋
★内容
「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」宇月原晴明著


 数ある信長小説で、1番驚いたのがこれ。そのファンタスティックな発想は、「戦国BA
SARA」の史実無視よりも、はるかに斬新かつ大胆だ。第11回日本ファンタジーノベル大
賞受賞作である。

 まず、織田信長と紀元3世紀のローマ皇帝ヘリオガバルスに多くの共通点があるという
指摘にびっくり。日本人には馴染みが薄いものの、ヘリオガバルスというのは歴代ロー
マ皇帝でもとびっきりの奇行で知られた人なのである。
 信長にも彼に匹敵する重大な秘密があった! という設定で、史実に驚きの解釈が加
えられていく。

 ナチス・ドイツの台頭する1930年代のベルリンと、戦国時代の日本を交互に描写し、
最後は大団円にはほど遠い破滅への道。歴史ファンや信長ファンこそ、もう仰天するし
かない。
 ただ、これはあくまでもファンタジー小説。エピソードにも、アントナン・アルトー
の著作「ヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト」を読んでいなければわからない
ような仕掛けが多く、読者を選ぶかもしれない。





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