#6153/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 10/06/18 22:40 ( 19)
本の感想>『六つの手掛り』 永山
★内容
・『六つの手掛り』(乾くるみ 双葉社)17/5552
その日初めて会ったばかりの五人の間で、何故か殺人事件が発生。手掛かり
は、被害者の持っていた六つの玉に(「六つの玉」)。日本の大学を訪れたカ
ナダ人教授が、学生達を前にマジックを披露したあと、何者かに殺される。顔
見知りはいないのに(「四枚のカード」)。悪戯好きの富豪が殺される。被害
者の作らせた特別な掛け軸が、謎を解くきっかけに(「二枚舌の掛軸」)。
ぱっと見、小太りなチャップリンといった風体の元奇術師・林茶父が、思い
も寄らぬ鋭いロジックで難事件を解き明かす。
ここまで論理重視を目指したミステリ短編集は、最近では珍しいかも。本格
好きにとって、もうそれだけで嬉しくなる。
ただ、一から十まで完全無欠のロジックかというと、そうでもなく。収録順
があとになるに従って、若干の強引さが目立ってきた。まあ、小さな疑問が残
るっていう程度で、鑑賞に充分耐えるレベルですが。
ロジック以外の面では、解決の過程で示される意外な動機がいい(以外・意
外で洒落のつもりはない)。それなりに伏線を敷いた上での意外な動機に、か
なり力を入れて書かれた作品集という気がします。
ではでは。