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★タイトル (AZA ) 09/08/19 20:05 ( 23)
本の感想>『新・本格推理03』 永山
★内容
・『新・本格推理03』(監修 鮎川哲也/編集長 二階堂黎人)15/6441
赤字路線の鉄橋ばかりを狙う爆弾魔が暗躍。葬儀帰りの春日が出会った男の
奇妙な振る舞いは、何を意味するのか(「とむらい鉄道」)。ミステリ研伝説の
男が、チェスタートンの「見えない人」に異を唱え、新たな“見えない人”テ
ーマのミステリを書いた。究極の“見えない人”トリックとは(「作者よ欺か
るるなかれ」)。頭部を切断された教祖の死体が一晩で、何故か移動させられ
る。まさか聖ディオニシウスの遺した逸話そのままに、首を抱えてしばらく動
き回ったのか?(「聖ディオニシウスのパズル」)
鮎川哲也が携わった最後の「本格推理」シリーズ。
おなじみのアンソロジーですが、今回の目玉は、投じた三作全てが収録され
た小貫風樹か。三作どれも佳作の域に達していますが、「とむらい鉄道」が抜
きん出ており、残りの「稷下公案」「夢の国の悪夢」はどちらも少々無理が目
に着く感じ。とはいえ、盲点を突いておっと思わせてくれるポイントがあるの
で、満足できます。
他では、粗筋紹介で触れた二作が好み。犯人当てで、“見えない人”テーマ
に挑戦した「作者よ欺かるるなかれ」は、広げた大風呂敷を見事に畳んでいま
す。ロジック重視の「聖ディオニシウスのパズル」は、決め手に欠け、ご都合
主義な部分も見受けられるものの、論理展開がいかにも本格推理っぽくていい。
皮肉の効いた落ちもなかなか。
アマチュアのアンソロジーでこのレベルなら、間違いなく買い、ですぞ。
ではでは。