AWC 本の感想>『少年検閲官』   永山


        
#5588/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  09/07/05  22:16  ( 34)
本の感想>『少年検閲官』   永山
★内容
 スカパー開放デーでテレビ観ていたおかげで、一日一書き込みのネタが書け
ず。よって、本の感想を棚降ろし。

 と、その前に。
 明日夜九時のNHKニュース内で、三沢光晴追悼特集があるとの噂。もし事
実なら、NHKが取り上げるとはちょっと意外です。

本の感想>『少年検閲官』(北山猛邦 東京創元社ミステリフロンティア)
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 書物を所有してはならない世界。大掛かりな焚書がなされ、もしも所有する
者あらば、書物のみならず、隠し場所も燃やされ、灰となる。人々はラジオで
知識を得るが、そのプログラム内容は政府によって検閲されている。
 そんな世界の日本に、英国から訪れたのはクリスティアナという少年。クリ
スはとある町に到り、そこで起きている奇妙な事件を知る。『探偵』と呼ばれ
る怪人物が、多くの家に赤い十字型の印を付けて回ったり、住処とする森の奥
深くに大人達を誘い込み、殺害後、首を切り落としたりするのだという。ミス
テリに関心を抱くクリスは、事件にも興味を示す。
 そこへ新たな事件が。『探偵』を捕らえるべく活動していた自警団の長が、
湖上のボート内で殺害され、犯人は消失してしまう。湖の周りは大勢が取り囲
んでいたにも拘わらず……。
 事件解決に乗り込んできたのは少年検閲官のエノ。彼は二人の部下を手足と
して使い、さらにクリスに協力を求める。

 序盤から描き方がファンタジーめいていて、これは恐らく現実的なロジック
だけでは解決しないんだろうなと思っていたら、そうではありませんでした。
書物の所有が許されない世界を構築し、その中でしか成り立たないミステリを、
なかなか見事に展開してくれます。終盤の収束具合が心地よい。
 その論理と展開を読者から隠すためには、少々無理を通す必要があった感じ。
読者に堂々と提示しては、ばればれになる可能性大だから、仕方がないかな。
それでも、書物のない世界だからって、“あれ”は他にもたくさん存在するだ
ろうと思え、気になったのは事実。この辺り、うまく処理しくれていたら、傑
作になったかも。

 ではでは。





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