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★タイトル (AZA ) 09/02/01 18:09 ( 27)
本の感想>『儚い羊たちの祝宴』 永山
★内容
・『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信 新潮社)13/4531
※帯より引用。()はルビ。
ミステリの醍醐味と言えば、終盤のどんでん返し。中でも、「最後の一撃(フ
ィニッシングストローク)」と呼ばれる、ラストで鮮やかに真相をひっくり返
す技は、短編の華であり至芸でもある。本書は、更にその上をいく、「ラスト
一行の衝撃」に徹底的にこだわった連作集。古今東西、短編集は数あれど収録
作すべてがラスト一行で落ちるミステリは本書だけ!
上記の惹句にそそられ、読み始めたのですが、冒頭の一編を読んで、ちょっ
と期待外れだったなと感じました。「『ラスト一行の衝撃』に徹底的にこだわ
った」「ラスト一行で落ちる」とは言い難いのです。ラスト一行ではなく、か
なり手前で分かるのだから。※ちなみに、最初の一編を読み始めてすぐ、別の
答を思い付いたので、もしこれが外れていたら自作に使おうと思っていたら、
外れていたので、すぐに作品化しました(笑)。
続く二番目の作品も、同じ意味で期待外れ。悪くはないが、看板に偽りあり
の印象が強まる。
そんな風に、すっかり油断していたところへ、やっと来ました。『玉野五十
鈴の誉れ』。これも警戒していたら先読み可能でしょう。けれど、そうでない
状態で読み進めたため、完全にやられました。よかった。
作品全体としては、連作の意味合いは薄いかなと。もっと凄い仕掛けに期待
しちゃいました。
また、米澤穂信作品にしては、かなりダークな方にウェイトが乗っているよ
うな。これまで読んだ物は、ぐっと来る重たいダークさだったのに対し、本作
は嫌〜な感じを出すことに力を注いでます、多分。これはこれでいいんですけ
ど、同じような物を求める読者には、ややきついかも。
ではでは。