AWC 本の感想>『道化の町』   永山


        
#5231/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  08/11/07  21:04  ( 25)
本の感想>『道化の町』   永山
★内容
・『道化の町』(ジェイムズ・パウエル 著/白須清美・宮脇孝雄 訳 
                     河出書房新社)17/5552
 近所中のごみバケツの蓋が消えるのは? エレベーターボーイの奇矯な振る
舞いの理由は? 想像力豊かな妻の解釈を笑っていたが……(「最近のニュー
ス」)。“ジャックと豆の木”後日談、塔のてっぺんで飼われる、金の卵を産
む鶏をいかにして盗み出したか(「魔法の国の盗人」)。各国の役立たずのス
パイをまとめてお払い箱にすべく仕組まれた陰謀。舞台となるバス内で殺人が
続発する(「愚か者のバス」)。
 ミステリの枠内にとどまらない、幻想的でユーモア溢れる短編集。

 一冊で、職人芸と名人芸と天才を感じさせる短編集というのは、なかなかな
いでしょう。緩急自在、予想の範囲内のオチがあれば、遥か斜め上方を行くオ
チもあり。ジャンルもミステリ、ファンタジー、ユーモアと、幅広い。
 短編集の感想では、個人的ベスト3を挙げるのが定番のようなので、私も順
不同で挙げてみると……他のアンソロジーで既読の表題作「道化の町」を除く
なら、ゲーム中に消えた宝石の行方を追う『アルトドルフ症候群』、国王相手
にとんでもない約束をした詩人がどう切り抜けるか、その解決策が愉快な『詩
人とロバ』、ある有名トリックの巧みな応用が見られる「ミスター・ニュージ
ェントへの遺産」としておきます。
 本格味溢れる「魔法の国の盗人」は、うまい方法だと思う反面、他の方法も
考えられるので、若干マイナス。魔法ありきの世界を舞台に本格ミステリを展
開する場合、短編では“改め”や“条件提示”の面で困難が伴うことを如実に
表しているような。

 ではでは。





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