AWC 本の感想>『ラグナロク洞 』   永山


        
#5227/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  08/11/05  00:57  ( 25)
本の感想>『ラグナロク洞 』   永山
★内容
・『ラグナロク洞 《あかずの扉》研究会 影郎沼へ』
               (霧舎巧 講談社ノベルス)13/4441
 中央アルプスにある影郎村を訪れた《あかずの扉》研究会の二人、鳴海雄一
郎と二本松翔は到着早々、洞窟に閉じ込められる。事故か、何者かの意志が働
いたのか。洞窟内は他に数名が同様に閉じ込められるも、宿泊施設があるおか
げで、数日は過ごせる。だが、安寧は許されなかった。殺人事件が発生し、被
害者が死の間際に指差したのは、翔だった。
 その後も連続する殺人。そして残されるダイイングメッセージの数々。地上
では何が起きているのか。村に伝わる影郎様の伝説とは。

 誤字については、前に触れたし、措くとして。
 ミステリにおけるダイイングメッセージのお約束をひっくり返し、なるべく
現実にあり得る形に近付けようとした点は、大いに評価できる。その結果がト
リックやロジックに結び付いている辺りも、なかなかうまい。作中で展開され
るダイイングメッセージ講座にしても、メタ的な読者サービスにとどまらず、
講座を行うちゃんとした理由がある。このダイイングメッセージ講座を趣向と
して評価するなら、私の付ける点数はもっとアップする。
 反面、ストーリーがあんまり面白くない。閉鎖状況で連続殺人が起きる割に、
閉じ込められた面々に緊迫感が乏しい気がする。本シリーズは探偵役が複数登
場することが特徴の一つで、これを活かした展開を期待する点として以前記し
たが、活かし切れていない感が強い。名探偵が命を落としかねないような危機
を描いて欲しい。
 あとは、図面をもっと早い段階で提示していいんじゃないかと。

 ではでは。





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