AWC 本の感想>『殺人者と恐喝者』   永山


        
#5072/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  08/07/28  20:53  ( 32)
本の感想>『殺人者と恐喝者』   永山
★内容
 「とことん!ルパン三世」、ついつい観てしまう。
 故に、一日一書き込みは、本の感想ストックから棚卸し。

本の感想>『殺人者と恐喝者』(カーター・ディクスン/森英俊 訳)
                            13/6331
 ひょんなことから、フェイン家で催眠術の実験が催されることになった。そ
の道では有名なリッチ博士により、ヴィッキー・フェインは術を掛けられ、夫
のアーサーを殺害するように命じられる。凶器は、博士の用意したゴム製の短
剣。ヴィッキーは術を掛けられる前の時点で、短剣がゴム製であることを知り、
だからこそ安心して振り下ろしたと考えられたのだが……短剣はいつの間にか
本物になっていた!
 アーサーは死亡し、警察が介入する。もしもヴィッキーが催眠術に掛かって
いなかったとして、では動機は? 実は、彼女は同居する叔父のヒューバート
から、アーサーが浮気相手を殺害し、隠蔽したという話を極秘に聞かされてい
た。ならば、借りに夫に恨みがあったとしても、殺人者として告発すればいい
だけの話ではないか。
 矛盾した状況にけりを付けるのは、不可能犯罪の大家、H・M卿。

 これは……うーん、やはりアンフェアだと言わざるを得ない。作者の狙いは
理解できるし、翻訳者の苦心の跡も分かるのだけれど、もっとうまいやり方が
あるだろうと思える時点で、本作のやり方はだめと断定すべきなのでしょう。
謎の設定は非常に魅力的であるだけに、勿体ない。
 手掛かりの出し方もまた巧みだが、これって状況証拠と呼ぶにも弱いくらい
で、想像の域を出ていないような。推測に沿って調べてみたら、明々白々な物
的証拠が出て来たことになっているが、その詳細は読者に伏せられたまま進む。
ここにも不満を感じます。
 あと、この“逆転の構図”が判明したあとなら、最初に疑われた人物に対す
る容疑も復活してくると思う。そのことに言及がなかったのにも不満。
 他にもどたばたが過ぎるところや、台詞が思わせぶりだったりくどかったり
するところなど、色々と惜しい作品です。

 ではでは。





前のメッセージ 次のメッセージ 
「◇フレッシュボイス過去ログ」一覧 永山の作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE