AWC 本の感想>『狂人の部屋』   永山


        
#4652/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  07/12/10  22:37  ( 27)
本の感想>『狂人の部屋』   永山
★内容
・『狂人の部屋』(ポール=アルテ 著/平岡敦 訳 ハヤカワポケットミス
        テリ)17/6452
 ハットン荘に暮らすソーン家は呪われている。約百年前、ある部屋にこもっ
て小説を執筆していたハーヴィーが、忌まわしい予言を残して怪死。現場の絨
毯は何故か水で濡れていた。さらに、予言は成就し、関係者が焼死した。
 その後、開かずの間となっていた部屋を、現当主のハリスが開くと、再び返
事が起こり始める。ハリス自身が転落死体となって発見され、問題の部屋を見
たハリスの妻が失神、絨毯にはやはり濡れた痕跡が。加えて、この不幸は、ハ
リスの弟ブライアンによって予言されていたのである。
 止むことのない怪事件に、不可能犯罪解明の大家、ツイスト博士が乗り出す
が……。

 序盤は、提示される謎があまりにも曖昧模糊としており、また、男女がくっ
ついたり離れたりすることに多くが割かれているため、なかなか乗れず。思わ
せぶりな記述をしたあと、それを放り出したまま場面転換するのも、それに拍
車を掛けた感じです。
 中盤に入り、謎が整理され、どこに注目して読めばいいのかを把握。同時に、
事件も新たな展開を見せて、引き込まれました。それでもなお、肝心要な点を
隠した描写が散見され、少なからずいらいらしたのですが……まあ、この“マ
ジック”を完成するには、こうするぐらいしか手はなかったかもしれない、と
いうことで納得しています。物語としての締めもよかった。
 個々のトリックを見て行くと、予言に関するものはほとんど外してしまい、
それ以外はだいたい当たり。犯人を間違えた、というか特定に至らなかったの
が痛い。ミステリの常道にとらわれるといけません。
 という訳で、読み慣れた人の方が引っ掛かりやすいミステリかな?

 ではでは。





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