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★タイトル (AZA ) 07/12/04 23:35 ( 30)
本の感想>『見えないグリーン』 永山
★内容
・『見えないグリーン』(ジョン・スラデック/真野明裕 訳 ハヤカワミステ
リ文庫)16/6442
数十年前に活動をした素人探偵七人会のメンバーが、次から次へと奇怪な死
を迎える。
最初の一人、ストークスは、「グリーンに狙われている」と警戒していたに
も拘わらず、密室と化した自宅トイレ内で死んだ。
その後、各メンバーの周辺で奇妙な出来事が続発。オレンジを投げ込まれた
り、ドアにイエローページをナイフで留められたり、藍の化学式を家に残され
たり、墓を青ペンキで染められたり……。犯人は虹の色をメンバーに割り当て
ようとしているらしいが、目的が分からない。
そして最後に残っていた赤色が、皆の前に示された直後、第二の殺人が発生
する。
SF作家スラデックが遺した最後のミステリ。
前々から読みたかったミステリ。密室の部分だけが、他作家の作品でしばし
ば取り上げられる(トリックは伏せた形で)ため、どんなトリックなのかおお
よそ想像できていたのが、かなりもったいなかった。
SFを本領とする作家らしいと思わせるところは特になく、でも、ミステリ
を外から眺めてきた人が書いた作品だなという雰囲気はたっぷり。こうすれば
君達ミステリ読者はこう反応するだろう、そこを引っ掛けてやるって感じ。実
際、引っ掛かりました(苦笑)。
密室トリックは発表当時、極めて独創的なものとして評価されたことでしょ
う。手掛かりの出し方も巧みで、なるほどそうつながるのかと唸らされた箇所
がいくつもありました。
二度ほど、無駄と思えるどたばた劇が短いながらもあって、そこだけはつい
ていけず。
登場人物は設定としてはそれぞれ特徴的で、ユニークなんだけれど、もっと
いい描きようがあった気がしました。
ではでは。