AWC 誤字&感想・守屋>「十三海断」


        
#4445/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (mor     )  07/09/09  16:09  ( 55)
誤字&感想・守屋>「十三海断」
★内容
 まずは誤字その他、文章表現について書きます。

「十三海断 1」
>死の十三階段を昇らせてやるっ!――夢中で決心した。

 「夢中で決心」は違うのでは。明確な意志や頭脳の働きを伴う行動に「夢中」はつけ
ないでしょう。
 「夢中で応援した」「夢中で大声を出した」というような、ポジティブかつわけがわ
からずできる行動にはつけられても、「夢中で計算した」「夢中で判断した」は矛盾し
ますよね。
 定番ですが、「固く決心した」「強く決意した」と表現するか、もっと強調するニュ
アンスを込めて「誓った」とするかがよいのでは。

「十三海断 2」
>疑問はいくつか浮かんだが、頼もしいく映るのは紛れもない事実。

 思わず、「頼もしいく」見えてしまったのですね(笑)。
 この人、冷酷なことを考え、実行する反面、ちょっと間の抜けているところがあっ
て、ギャップに親しみをおぼえます。ここまで、主人公だと思って読んでいたせいでし
ょうか。

「十三海断 3」
>プラマイゼロ

 社会人、それも事務職で発注や統計など、数字を見る仕事に就くまではこの省略形を
使わないのでは。少なくとも自分は就職後でした。
 見たり聞いたりして意味のわかる単語のすべてを、自発的に使うわけではありませ
ん。学生のボキャブラリーは自分で思っているほど豊かでも広範囲でもないので、中学
生にこれはどうかな、と違和感を感じました。
 あくまでも体験を元にした個人的な意見ですが、参考までに。

 次に感想です。これが……うむむむ、表現に困るのですが、正直なところ……。
 「2」の冒頭で、先の予想を覆されたときは、ものすごく斬新な組み合わせだと思っ
たのですよ。殺し屋に仕事を依頼するシーン、塾の合宿シーンでひとりひとりを紹介、
と続けば、てっきり読者はこの中の誰が殺し屋かを推理する展開なのだと予想します。
それをジェイソン(ジュウザ?)の乱入で覆し、ジェットコースター状態のサスペンス
にしたのは、とても意欲的だと感心したのです。
 
 しかし……。サスペンスを加味したのではなく、謎解きを引き算してしまったのは…
…。正直、がっかりでした。予想というより、期待を裏切られた感が漂います。
 殺し、殺される予定の登場人物が誰かを読者に考えさせないのであれば、いちいち紹
介する必要もなかったでしょう。永山さんの癖なのかもしれません(「1/13のジ
ョーカー?」も同じ)が、全員を一度に、それも均等に紹介するのは、この場合、マイ
ナス効果です。読み手に方向違いの期待をさせてしまうためです。
 生き残るのは誰かというサスペンスを主体に展開するのだから、人物紹介に緩急をつ
け、詳しく記述する(これから重要な役割を担うのか、と読者に期待させる)人物と、
名前だけの脇役との間に差をつけたほうがよかっただろうと思います。主役級の人物が
……される「2」の冒頭までは、本当に期待していたので、伏線を蹴飛ばしてしまった
かのようなその後の乱暴な展開が残念でなりません。
 全体の長さを考慮して、やむなく殺し屋は誰か、殺されるターゲットは誰かという謎
解きを削ったのでしょうか? むしろ、充分な長さを取って、ジェイソン(ジュウザ
?)に追われながら、子どもたちが殺し屋は誰か、殺されるターゲットは誰かを考える
展開にして欲しかったです。引き算ではなく、足し算に。
 多くの点で、もったいない扱いだなあと感じました。導入部と主要キャラクターが魅
力的だっただけに、なおさら……。





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