#4359/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 07/08/20 21:15 ( 33)
本の感想>『殺意は必ず三度ある』 永山
★内容 07/08/25 21:08 修正 第2版
高校野球、夏の甲子園もベスト4が出揃い、いよいよ佳境ということで。
本の感想>『殺意は必ず三度ある』(東川篤哉 実業之日本社)12/5340
鯉ヶ窪学園の弱小野球部キャプテン・土山は、いつものように一番にグラウ
ンドに来て、違和感を覚えた。何かがない……。やがて気付かされる。ベース
が消えているのだ。一体、誰がどんな理由で?
謎が解けないまま一週間ほどが過ぎ、ライバル校との練習試合を迎えた。と
ころが、鯉ヶ窪学園野球部監督が現れない。仕方なくキャプテンを代理監督と
してゲーム開始。弱小校同士の白熱した試合が終了した直後、その監督が他殺
体となって発見される。傍らには、盗まれたベースの一つと、ボールにグロー
ブが添えられていた。
野球部に絡む怪事件を解決せんと、鯉ヶ窪学園の悪名高い探偵部が首を突っ
込むが、混迷は深まるばかり?
ユーモア溢れるバカミスにして本格というのが最大公約数的世評で、評価も
それなりに高い。読んでみて、そういう風に銘打ちたくなるのはよく分かりま
した。
ただ、作中に登場するギャグはあまりに寒くて、つらい。正直言って邪魔で、
作品を長くするための字数稼ぎとさえ感じてしまう。これは、別に自分が関西
出身てこととは関係ないと思うのですが……。
トリックはまずまず。見せ方がうまくないので、おおよそのからくりと犯人
がすぐに想像できてしまうのが欠点かな。
一方、そのトリックが用いられた確証となる手掛かりは、さりげない提出を
しており、絶妙でした。これはうまい。動機も作風とは違って、なかなか深い
ものがあってよかったです。
キャラクターは、探偵部の三人がいらん(笑)。寒いギャグを展開するのはだ
いたいこの三人なんですが、その点を抜きにしても、色んなことに気付くのが
遅すぎる。とうに先回りしている読者は、いらいらします。こういうおっちょ
こちょい探偵は、読者よりもわずかに遅れるくらいでいい。
そんなこんなで評価の難しいミステリ。すいすい読めるし、寒いギャグなん
て気にしない向きにはお勧めできます。
ではでは。