#4247/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 07/07/07 00:48 ( 28)
本の感想>『出口のない部屋』 永山
★内容
雨のせいか回線不調。やっと復旧した。
昨日の分を書き込めなかったけど、この間、一日二書き込みしたし、まあい
いかなと。
本の感想>『出口のない部屋』
(岸田るり子 東京創元社ミステリフロンティア)15/3561
編集者の香川は、ホラー作家の仁科千里を訪ね、原稿を渡される。「出口の
ない部屋」という題名のそれは、ある部屋に閉じ込められた三人の男女の物語
だった。
大学講師、医者の妻、若手作家――見ず知らずの三人は、何故、この部屋に
閉じ込めれたのか。しかし記憶が曖昧で、閉じ込められる直前のことさえ、よ
く覚えていない。そこで、一人ずつ、自らについて話し、こんな目に遭わされ
る理由に関し、ヒントを得ようと試みる。
鮎川哲也賞作家のデビュー後長編第一作。
デビュー作『密室の鎮魂歌』がいまふたつぐらいだったので、さして期待せ
ずに読み始めましたが、これはなかなかのリーダビリティでした。元々、文章
表現はうまい作者が、ちょっと変わった設定を捻り出し、さらに前作では抑え
めだった女性のいやらしさを描いたことで、面白い物語に仕上がった感じ。
殺人トリックが二つ出て来ますが、これらはあくまでおまけ、というよりも
むしろ、取って付けたようで余計なものとすら言えるくらい。本作は、構成の
妙で読ませる作品。
ですが、ミステリに慣れた読者は、このぐらいなら多分、三分の一も読めば、
作者の狙いに察しがつくでしょう。あとは辻褄を合わせるだけですが、そこの
部分にホラーテイストを用いたことで、かなり効果的な煙幕を張ったと言える
かもしれません。
ではでは。