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★タイトル (AZA ) 07/06/21 20:49 ( 28)
本の感想>『パラドックス学園』 永山
★内容
・『パラドックス学園』(鯨統一郎 光文社カッパノベルス)11/5330
パラドックス学園に入学した推理小説好きのワンダは、ミステリ研がなかっ
たため、パラレル研究会に入部する。そこは、著名なミステリ作家と同じ名前
を持つ者ばかりが集まっていた。しかし誰も、推理小説やミステリなるものを
読んだことがなく、それどころか知りもしないという。しかもこの世界では、
現実に起きる殺人事件のほとんど全てが、本格ミステリにあるような謎と意外
性に満ちた犯行であった。この違和感に、ワンダは自分がパラレルワールドに
入り込んでしまったのでは?と考えるようになる。
やがて身近で殺人が起きるが、当然のように密室殺人だった。
バカミスの大家が、パラレルにメタミステリの要素を加え、新たなるバカミ
スを送り出した。
うーん……。この作者ならではのバカミスですが、この作者だからと許して
しまうには、ちょっと問題ありかなあ。
仕掛けについて一言でも書くと、それはネタバレに等しく、また読者の選択
肢を奪いかねないため、具体的には書きづらい。とりあえず、メタ設定を活か
して意外な犯人を作り上げたが、全ての場合に通用するとは思えない、という
ことで。現場の状況にも差が生じないとおかしいし。
キャラの名前が某作を彷彿とさせる、というか、同じ(全く同じではないが)
で、そこにも一応の仕掛けはあるものの、牽強付会の印象が拭えないと感じら
れました。
会話に出て来るパラドックスが全て、既存のものから取ったようなのも、ち
ょっと不満。この作者ならオリジナルの面白いものを組み込んでくると信じて
いただけに、がっかり感がひとしお。
ミステリに飽きて、珍品ばかりを追い求めるようになった人には、まあまあ
楽しめるかもしれません。
ではでは。