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★タイトル (XVB ) 07/05/18 01:11 ( 19)
80年代SF傑作選>竜のグリオールに絵を描いた男 $フィン
★内容
『竜のグリオールに絵を描いた男』
著者 ルーシャス・シェパード
(早川書房 80年代SF傑作選より)
最初題名を見て日本語訳が誤植じゃないかと戸惑ってしまった。竜のグリオール「に」
じゃなく竜のグリオール「が」絵を描いたのじゃないかと思ったのだった。でもその疑
問は読んでいる間に変わっていった。普通のファンタジー作品にでてくるような竜と、
サイズがまったく違っていたのだった。富士山ぐらいの大きさの竜だと思っていただき
たい。年老いた竜は動かず、物を食べず、空を飛ぶこともない。ただ昼になったら目を
開け、夜になったら目を閉じるだけである。その上を人間達が右往左往するさまが描か
れている。
そもそも竜のグリオールの(身体中)に絵を描こうとして、発案し、ほとんど一生を注
いだのも執念みたいなものを感じる。竜に絵の具を塗って、絵の具の毒で竜を殺す。で
きるかできないかわからないがやってみる。
しかしだ。竜は山のようにそこにいるだけで、どるちゃんが読む限り悪いことも良いこ
ともしていない。竜が邪魔だと思うのは人間の思い込みじゃないかと思う。それに竜が
いるだけでこの街は栄えていたのかもしれない。竜がいなくなって、どんな風になるか
考えてみるのも面白い。