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★タイトル (XVB ) 07/04/17 01:01 ( 24)
感想>SF全集28>壁の穴 $フィン
★内容
『壁の穴』
著者 星新一
(早川書房 世界のSF28より)
この話に出てくる青年に感情移入する人多いだろうね。この青年は30を前にしている大
きな会社に勤め、現在から未来への不安をあまり感じない。それで朝、昼、晩と退屈と
不満をもてあましていた。どるちゃんも今平和で物質的にもそんなに不満があるわけじ
ゃない。ただ人生のどこかに分岐点があってそこで違う道をいっていたら、もっと違う
人生があったのじゃないかと思うときがあります。
さて青年ですが、あるとき不思議なナイフを手に入れます。手に入れるといっても、部
屋にあっただけなのですが、誰のものかどんな使い方をするのか不明です。そこで青年
は隣の壁に穴を開けました。アパートの小さな穴から、所帯じみた室内が見えるはずだ
ったのですが、穴の先は青年の住む世界とは違う豪邸の内部でした。青年は怖くなって
穴を閉じるのですが、穴はもととおりになっています。そうして部屋にいろいろ穴をあ
けていろいろな世界を見ます。その穴の世界は青年の退屈で不満に満ちた世界じゃな
く、活気に溢れています。そして最後に青年は青年の子供時代に出会って、子供時代か
らリセットしようとしますが失敗します。
どるちゃんもこんな年になって、小学校の頃を思い出しかえれるものなら帰りたいと思
うことがありますね。7月頃、全国の小学校でプール開きをします。青い美しい水(中
におしっこがはいっていようとも…)水はきれいに輝き、子供たちは喚声をあげてはし
ゃいでいます。どるちゃんもその児童たちと遊びたいけど、できない。ああ、あのころ
に戻れたら楽しいだろうなァと思います。子供時代の郷愁ですね。
青年の最後も郷愁でした。しかし失敗し、不思議なナイフも消えてしまいました。