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★タイトル (AZA ) 07/04/06 20:51 ( 27)
本の感想>『ローリング邸の殺人』 永山
★内容
・『ローリング邸の殺人』
(ロジャー=スカーレット 著/板垣節子 訳 論創社)16/6451
ホテルで療養中のケイン警視を、ファラデーと名乗る男が訪ねる。親友でロ
ーリング邸の主であるアーロンの身に危険が迫っていると主張する彼に、ケイ
ンは胡散臭さを感じてお引き取り願う。が、相前後してケインの元に届けられ
た一冊の書籍、そこにあったメッセージがケインをローリング邸に向かわせる。
ローリング邸に住み込むことに成功したケインは、調べを開始するが、住人
達の話が微妙に食い違うなど、どことなくぼんやりとしていてはっきりしない。
病の床に就くアーロンに危険が迫っているのは確かなようだが……。
そんなケインを嘲笑うかのように、死を迎える主。病死か、他殺か。他殺な
らば犯人は誰か?
乱歩が惚れ込んだ米国本格推理作家スカーレット、最後の作品。
正直なところ、序盤のケインがローリング邸に住むことになる辺り、さらに
はその後の調査のくだりは、何を書きたいのかと文句を言いたくなるほど実に
もどかしい展開でした。謎めいてはいるのだけれど、はっきりしたことが一つ
もなく、もやもやを抱いたまま読み進まざるを得ないという感じ。会話文にや
たらと指示語や仄めかしが出て来ることも、これに拍車を掛けたと思う。
ところが、人死にが出た頃から段々と面白くなり、ケインが推理を語るクラ
イマックスに至っては、「そうだったのか!」と膝を打ちたくなる素晴らしさ。
手掛かりも堂々と配されており、実によく考え抜かれたミステリでした。
悔し紛れに一つ書くと、私、ある事柄を手掛かりに真相を見破る一歩手前に
は立ったのだ。だが、それがまさかこの組み合わせとは思わなかった。
時間の余裕があるときにじっくりと読みたいミステリです。
ではでは。題名から、「大嘘新聞」トークライブで聞いたローリング族ネタ
を連想しました(苦笑)。