#4018/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 07/03/17 22:33 ( 19)
本の感想>『そして名探偵は生まれた』 永山
★内容
・『そして名探偵は生まれた』(歌野晶午 祥伝社)14/5441
講演の依頼を受け、とある企業の保養所に招かれた名探偵の影浦。彼の存在
を嘲笑うかのように、その夜、企業の総帥が死体となって発見される。現場は
雪の密室の様相を呈していた。
意外な成り行きと結末が待ち構える表題作に加え、先に祥伝社400円文庫
として刊行された孤島物の『生存者、一名』と、館物の『館という名の楽園で』
を併せて収録した作品集。
表題作はパロディ以外の何物でもない印象。ひどい作品ではないのだが、表
題作にするには寂しく、物足りない感じ。もっとパロディを突き詰めて、何ら
かの形で高みを見せてくれていたなら、もう少し高評価になったかもしれない。
残る二作は再読になったが、それぞれ独自色があり、かなりよい出来だと思
う。『生存者、一名』の引っ掛けはミステリ初心者向けで、『館という名の楽
園で』の館物に対する愛着は、マニア向けといったところか。
それにしても、400円文庫が二冊分で800円。本書(ハードカバー)が
1700円。差し引いた900円の値打ちが、書き下ろされた表題作にあるか
と問われると、「うーん」と唸らざるを得ない……。
ではでは。