AWC ありゃさこりゃさ   永山


        
#4001/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  07/03/09  21:48  ( 61)
ありゃさこりゃさ   永山
★内容
 深夜にやっていた映画「アーリャマーンEPISODE 1 帝国の勇者」を観てしま
いました。
 まず、タイトルに惹かれました。アーリャマーンて何じゃらほい。ありゃま
あに通じるため、これだけで期待感が高まります。B級映画として(笑)。
 もちろん、日本語の音としては変だけど真面目な映画というのはいくらでも
あります。先入観で決めつけるのはよくありません。
 さて、肝心の内容ですが……端的に言い表すならば、インド版スターウォー
ズ。ただし、しょぼい。
 オープニング前に、本作品はスターウォーズとは一切関係ありませんという
意味の注意書きが出るんですが、関係しています。アイディアを(恐らく無断
で)借りまくっています。
 登場するメカのデザインが、スターウォーズの物真似です。X型の翼を持つ
宇宙船は色が違うだけとか、C3POを全身銀色にしてぴぽぽぽとしか喋れな
いロボットとか。このロボット、いかにも人間が入ってカクカク動いています
よ的な仕種が笑いを誘います。しかも、主人公に対してはぴぽぽぽとしか喋ら
なかったのに、主人公の両親にあった途端、普通に言葉(インド語?)を喋り
出します。訳が分かりません。
 惑星全体がドクロ顔という、デススターのギャグバージョンのような要塞惑
星も登場します。この惑星、歯の一本が開いてそこからミサイルを発射します。
 キャラクターの配置も似通っています。でも、インド版のルークは青年でも
なければ少年でもありません。どう見ても中年です。横から見ると腹がぽこん
と出ていました。しかも、顔が安岡力也(ホタテマン)にそっくり!
 構成やカメラワークもかなり変です。テレビドラマ(ちなみにインドテレビ
史上最高視聴率をたたき出したそうな)を再編集した映画らしいのでそのため
かもしれませんが、やたらと回想が長い。主人公の赤ん坊時代の回想が三十分
以上ありました。また、これ以外の回想シーンでは、赤いフィルターをかける
ケースが目立ちました。
 他にも、アップがやたらと多い。カメラ目線もやたらと多い。明らかにそれ
と分かる合成を多用する。しかも合成の失敗が結構ある(床が傾いている、べ
た塗りの直線から点線に変化するレーザー光線等)。アクションシーンもぬる
くて、明らかに寸止めパンチをしているのが、一時停止もスローモーションも
なしに認識できます。
 奴隷の足に結び付けられた鉄球は非常に軽く、ぽんぽん宙に浮きます。鉱山
抗での強制労働では、岩にドリルを突き立てても粉塵が全く出ません。しかも、
現場監督らしき人物は、黄色いヘルメットに黄色い作業服を着ているというセ
ンス。
 宇宙船に乗り込んだ主人公は、「左じゃないよ、右に行こう」とか「道を間
違えた」なんてことを言います。宇宙で右だの左だの、あるいは道だのと言わ
れても。
 翻訳もたまにおかしくて、たとえば上記主人公の操縦する宇宙船が小惑星群
に突っ込むシーンで、「隕石をかわすんだ」とテロップに出ました。隕石って
……。翻訳のミスじゃなく、原語で隕石と言っている可能性もありますが。
 ラストがまた凄い。拘束されながらも何故か処刑されずに、敵のボスと対面
する主人公。そこでいましめを解かれ、ライトサーベルもどきによる決闘開始。
主人公役の俳優、ここまで演じてきて疲れたのか、盛り上がるシーンのはずな
のにあまり感情が表に出ません。それでもちゃんちゃんばらばらと闘い、やが
て敗北。透明なケースに閉じ込められた主人公を煙が覆い、そのまま固められ
てしまった!――そう、この主人公はスターウォーズのルークだけでなく、ハ
ンソロの役目も担っていたのです。その主人公の目だけがきょろきょろと動く
のは、これはスターウォーズの真似ではないとのアピールか。
 ここでおしまい。タイトルから分かるように、EPISODE 2に続く。ぜひとも
観たいぞ。できれば、ゴールデンタイムに吹き替え版で。
 凄いというか恐ろしいのは、インドの映画人達はこの映画を大真面目に作っ
たらしいこと。0を発明するという数学上の偉業をなし、自他共にIT大国と
認めるインドが、こんなSF映画を作り、テレビでは高視聴率を稼ぐというギ
ャップ……たまりません。
 不思議なことに、インド映画お得意のダンスシーンはほとんどありませんで
した。そのような娯楽性を持ち込まなくても、たっぷりと笑えるのは事実です
が。

 ではでは。明日も映画の感想を書くかもしれず。





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