#3999/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 07/03/08 22:44 ( 26)
本の感想>『殺人者の健康法』 永山
★内容
・『殺人者の健康法』(アメリー=ノートン 著/柴田都志子 訳 文藝春秋)
11/3350
齢八十を超え、奇病にかかり余命二ヶ月と診断を下されたノーベル賞作家に、
ジャーナリスト達が関心を寄せた。
インタビュー申し込みを受けた老作家は、彼らを悉く撃退する。が、ある女
性記者の登場により、事態に変化が訪れる。
彼女の切り口によって明らかにされる、老作家の過去の秘密とは。
ミステリと思って読み始めたが、ミステリではなかった。その意味で面白く
はなかったことになります。
女性記者の登場までが冗長で、原稿用紙三枚もあれば済みそうなことを、だ
らだらとインタビュー形式で書き綴った感じを受けました。こんなことにペー
ジを割くよりも、老作家の“作品”を、少しでも具体的に示すべきだったので
はないか。そしてそれを伏線とすべきではなかったか……。
ミステリではないと承知していたなら、それなりの読み方をできたかもしれ
ませんが(と言って、読み返す気は起きません)。
老作家の秘密は予想の範囲内にあるもの(帯でネタバレしているし)で、そ
うなるとこちらの興味・関心は、どんな結末が待っているのかという点に絞ら
れるかと思います。
で、それなりにあり得べき結末でしたが、そこに至る過程がいまいち弱いよ
うな。理屈が弱いというか。そのため、もう一捻りあるのかと考えていたくら
いで、捻りがなかったから肩透かしを食らった気持ちになりました。
まあ、中盤から終盤にかけて、記者と作家のやり取りが緊迫感に溢れており、
そこがよかったです。
ではでは。