AWC 本の感想>『シクラメンと、見えない密室』   永山


        
#3904/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  07/01/28  20:55  ( 24)
本の感想>『シクラメンと、見えない密室』   永山
★内容
・『シクラメンと、見えない密室』(柄刀一 実業之日本社JOYNOVELS)
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 植物が当たり前のように存在し、客達を出迎える喫茶店「美奈子」。そこの
店主である美女とその娘が、持ち込まれる謎を魔法でも使ったかのように解き
ほぐしてみせる。
 そう、これは魔女が探偵を務める本格推理小説。
 様々な植物をタイトルに入れて語られる、謎めいた事件の数々。それらが解
かれ、悩める客だった者たちの集った最終章にて明かされる仕掛けとは。

 「本格を踏まえ、本格を超えた!」との惹句が付いていますが、これはオー
バーに過ぎます。あくまで本格の範疇で、充分に面白い連作短編集となってい
ます。過度に期待せず、じっくり読んで味わうのがよいのでは。
 編中の白眉は、「遠隔殺人とハシバミの葉」かな。鉢植えに対してまじない
の仕種をすると、向かいのマンションに住む嫌な相手が、まじないの通りに死
んだ。本当に遠隔殺人が行われとしか思えないこの状況に、どんな答が与えら
れるのか。
 また、表題作は、心理的密室を構成する思いがけない小道具に拍手。これま
での作品から判断すれば、この作者らしくない、細やかな心理的トリックと言
えそう。
 と、お勧めの短編を選んでみたものの、読むのは掲載順に。最後の仕掛け以
外にも、作中でそれより前の事件の種を割っているケースがあるので。
 採点は十五点ですが、それ以上の満足感が得られるミステリだと思います。

 ではでは。





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