#2977/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 05/07/18 05:36 ( 24)
本の感想>「急行列車内の謎」 永山
★内容
・「急行列車内の謎」(F・W・クロフツ / 橋本福夫 訳)13/5431
一九〇九年ロンドン、北部行きの急行列車内で、凄惨な事件が発生した。一
等車のコンパートメントの一つで、夫婦が銃で撃たれて殺され、同室の女性一
人が半狂乱に陥っているのが発見される。その部屋はドアが外側から楔を打た
れる等したため、一種の密室状態と化していた。さらに現場の隣のコンパート
メントも、同じくドアに楔がされ、中に男性二人が閉じ込められた格好になっ
ていた。
様々な仮説が打ち立てられては粉砕され、事件は迷宮入りするかに見えたが、
やがて意外な形で真相は明るみに出る。
『世界短編傑作集2』(江戸川乱歩 編 創元推理文庫)所収の一編。
有栖川有栖『密室大図鑑』でこの短編のことを知り、古本屋で探してきて読
んでみました。あのクロフツが、アリバイミステリの代名詞のようなクロフツ
が書いた密室ミステリというだけで、希少価値があって、興味をそそられます。
加えて、短編の少ない作家でもあるし。
読後、感じたのは、やっぱりクロフツだなあ、と。短編になっても文章は硬
いように思えるし、小説としての盛り上げ方やバランスも、これでいいのかな
と感じられる箇所がいくつか。それでも引き込まれる部分がある、という点ま
で含め、クロフツらしい作品と言えそう。
肝心の密室は、謎の設定の仕方はかなり巧く見せているが、解決のくだりに
いたって、若干、拍子抜けかな。当時の列車の形状・仕組みなどに精通してい
ないと、これだけの推理を働かせるのは厳しいと思う。
ではでは。