#2951/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 05/06/28 22:26 ( 23)
本の感想>『パズラー』 永山
★内容
・『パズラー』(西澤保彦 集英社)14/4442
高校時代の同級生・梅木が事故死したという確かな記憶があるのに、同窓会
に出てみると梅木は健在で、別の生徒が死んでいた「蓮華の花」、死体の袖に
着いていた腐った卵から真相に迫っていく「卵が割れた後で」、書店で購入し
た古びたミステリに挟まれていた紙片から、思わぬ過去が暴かれる「時計じか
けの小鳥」、鉄壁のアリバイを持つにも拘わらず、それを主張することなく同
級生殺しを白状した女生徒の狙いとは?「アリバイ・ジ・アンビバレンス」等、
六作からなる短編集。
この題名から、がちがちの本格物と思って手に取ったのですが、読み始めて
みると、微妙に違う。悪くはないのだけれど、謎の程度があっさりしている感
じがしてならなかった。「パズラー」という言葉に、過度に期待してしまった
のがまずかったか……。
でも、巻末の解説と後書きを読むことで、納得。本書は、謎が解かれていく
過程を楽しむミステリを集めたものでした。この、「謎を解く過程」に魅力を
置くミステリって、今のところ少数派ということもあって、言われてみないと
気付かないケースが多いのです(苦笑)。
まあ、そういったミステリ上の分類めいたことを持ち出さなくても、本書に
収められた短編は、いずれも論理のアクロバットを展開しており、充分に面白
い。甲乙付け難い中から、敢えてベストを選ぶなら、「卵が割れた後で」に一
票を。
ではでは。今日のパリーグひいき球団一勝二敗。