AWC 本の感想>『悪魔のひじの家』   永山


        
#2931/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  05/06/16  23:03  ( 26)
本の感想>『悪魔のひじの家』   永山
★内容
・『悪魔のひじの家』(ジョン・ディクスン・カー 著/白須清美 訳 新樹社)
                             14/5441
 かつて傍若無人な判決を下した大法官が暮らしたその屋敷は、“悪魔のひじ
の家”と呼ばれている。バークリー家が屋敷を買い取った後、出没した法服姿
に覆面の怪しい影は、恨みを買って死んだとされる大法官の霊か?
 そして、クロヴィス=バークリーの死後、家屋敷を受け継いだ次男のペニン
トンが、密室状態の図書室内で、拳銃で狙われる。幸い、空砲だったため、命
を取り留めたものの、再び密室内で襲われた彼は、今度こそ実弾を胸に食らっ
た。相前後して、何度も姿を見せる亡霊の怪異。
 この怪異に挑むのは、名探偵ギデオン=フェル博士と、スコットランドヤー
ドの副警視長エリオット。快刀乱麻を断つ名推理の下、ひれ伏す犯人の正体は?

 総じて冗長な印象を受けました。特に、登場人物の話し方が、根っこの部分
で誰も彼も同じのような気がする。全員が、当て擦りや思わせぶり、無駄な繰
り返しにつまらないジョーク等を絶対に入れなければならない、とでも考えて
いるかのごとく。そういう意味では、キャラクターの書き分けも今一歩と言え
そう。
 謎の設定は悪くないものの、同じ作者の既存作品の焼き直しの色合いが濃い
のは残念でした。それでもなお、密室での狙撃や、霊のごとく消える容疑者の
謎は、魅力的です。偶然を多用せず、すっきり形で謎が構築されていたら、も
っとよかったんだけれど。
 とまあ、批判的な感想を書きましたが、古めかしいのはやはりしょうがない。
四の五の言わず、カー晩年の傑作とされる本書を、じっくり味わうのが吉なの
かもしれません。

 ではでは。





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