#2848/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 05/04/24 21:37 ( 25)
本の感想>『白い兎が逃げる』 永山
★内容
・『白い兎が逃げる』(有栖川有栖 光文社カッパノベルス)13/4351
劇団の看板女優・清水玲奈は、観客として来た男のストーカー行為に悩まさ
れていた。親しい劇団仲間に相談を持ち掛けると、脚本を担当する亀井がボデ
ィガードを買って出た。しばらく収まったかに見えたストーカー行為だったが、
やがて再開され、業を煮やした亀井達は、ある計画を実行し、ストーカーを引
っかけようとする。作戦は成功したかに見えた。ところが、事態は思いも寄ら
ぬ展開になる。ストーカー男が死体になって見つかったのだ。小学校のうさぎ
小屋の裏で。玲奈は迷惑を蒙っていたものの、殺害するほどの動機はない……。
追う者と追われる者の逆転?を描いた表題作を始め、四つの短編からなる作
品集。
四作品の内の二編を別のアンソロジーで既読だったため、一冊の本としては
物足りなく感じてしまった。それは関係ないとして。
有栖川らしいばりばりの本格物を期待して読むと、やはり物足りないでしょ
う。火村シリーズを読みたいから本書を手に取ったという人でも、ちょっとど
うかな。手堅すぎて、もう一歩といったところではないかしらん。
上の粗筋紹介で、短編集と記しましたが、実際は中編集と呼びたくなるくら
い、それぞれが長く感じられる。もっと手際よく、短めに切れ味を示した方が、
よかった気がしないでもありません。
あと、時刻表トリックを使いながら、時刻表を作中に入れないのは、とても
珍しい、というか不親切(入れたら一発でばれそうなトリックだが)。
編中のベストは、「比類のない神々しいような瞬間」かな。つい最近、某テ
レビドラマで、似たようなネタが使われてました。
ではでは。