AWC コンサートレポ   永山


        
#623/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  02/10/25  00:12  ( 98)
コンサートレポ   永山
★内容
 珍しく、コンサートに行ったので、鑑賞記を書いてみました。
 結果、音による感銘を字で表す難しさ再認識した次第ですが、ご笑覧を。

 東征の帰り、アンドレ=リュウ with Johann Strauss Orchestraコンサート
名古屋公演に行ってきました。場所は愛知県芸術劇場。
 リュウは基本的にバイオリン奏者らしいのですが、九月のオフでこの名前を
出して、泰彦さんと憑木影さんから「知らないなあ」と言われてしまったとき
は、不安になった……けど、行ってよかった。(^^) 趣向を凝らした公演で、
こんなに楽しいクラシックコンサートは他にないんじゃないか(註.永山がク
ラシックのコンサートに行ったのはこれが初めてです)と思えるほど。私のよ
うに音楽と縁の薄い人間にとって、こういうところから入っていくのが一番い
いかもしれない。

 機先を制せられたのが、入るときでした。
 会場入口で、袋入りのチョコレートを何故か渡される。座席に着いてから、
食べていいのかなと思いきや、「場内での飲食はご遠慮ください」云々という
アナウンスが。よく分かんない。(^^; 私の一つ前に座った背広姿の男性は、
曲が終わる毎に一個食べてましたけどね。
 このことから分かるかと思いますが、堅苦しくない雰囲気でした。

 かの豪華客船タイタニック号沈没の間際、楽団が奏で続けたという曲や『オ
ペラ座の怪人』の挿入曲、それに珍しい、スイスホルンを用いた「Alpenklang」
 etc……。一曲毎に感じががらりと変わって、次は?次は?と期待感が高まり
ます。
 その上、時折ユーモラスな演出が挟み込まれて、全然肩の凝らない、リラッ
クスムード。一例を挙げれば、「Alpenklang」演奏後、ホルン奏者達が舞台の
最前列まで進み出て、巨大なホルンを掲げたまま、深々とお辞儀。すると、ホ
ルンが観客に当たりそうになる。(^_^) 

 中でも印象に残ったのは、「美しく青きドナウ」のアレンジ。演奏の仕方に
よってはこんなに変わるんだと、目ならぬ耳から鱗が落ちました。
 しかも仕掛けが面白い。リュウ自身が前口上で、「これは大変楽しい曲で、
座って聴いてなどいられません。あなた達(観客の皆さん)も踊り出したくな
りますよ」と言ったのが伏線。曲が始まると同時に、通訳の男性が舞台袖から
客席へと降り、女性客を誘ってダンスを披露。つられたかのりがいいのか、ボ
ックス席で見ていた男女カップルの客も、手を取り合って踊る。とってもいい
雰囲気で、自分も自然とリズムを取っていました。

 プログラムに記載の全十九曲が終わると、天井から色とりどりの風船が落ち
てきた。結構な数です。あとからあとから、ぽろぽろとこぼれ落ちてくるので
把握し辛かったんですが、500〜1000個ほど? で、この風船の破裂音
がやたらにする。自分のいる席からはよく見なかったんだけど、故意にやって
いたのかな?

 そしてお決まりのアンコール。嬉しい。しかも五回か六回繰り返す! 三十
分近くもボーナスがありました。中には、これで終わりだろうと見切りを付け
たのか、二回目のアンコールぐらいで帰っちゃった人もいた。もったいない。
 アンコールの拍手に応じ、最初はにこやかに再登場していたリュウも、回を
重ねる内に段々と不機嫌なポーズを取り、ステージ一杯に降ったくだんの風船
を蹴り飛ばしてから、おもむろに弾き始める。
 と言っても、これは全て演技・演出。アンコールを繰り返すのも、もっと聴
きたいという気持ちも無論ありますが、観客がしつこいんじゃなく、通訳の男
性が手拍子をして会場全体を煽るんです。つまるところ、予定の内なんでしょ
うけど、でも、この仕掛けが飽きさせない。盛り上がる一方。
 たとえば……そこそこ有名だけど、メロディを通しで知る人は少ないであろ
う曲の演奏を始め、ジェスチャーで、観客に鼻歌を求める。観客がそこそこ唱
い始めたところで、演奏をぱたりとやめ、アカペラを続けるように指揮棒(だ
ったかな?)を振る。徐々に小さくなる鼻歌。リュウ、煽ろうとするも、とう
とう聞こえないほどの音量になり、曲は中断。頭を左右に振る。
 そこから一転し、映画『千と千尋の神隠し』の主題歌「いつも何度でも」が
始まった瞬間、ほぉという歓声とともに大きな拍手が。実に効果的なつなぎ方。

 「荒城の月」でのリュウの独奏も素晴らしく、その後、合奏になると、観客
皆は合唱状態に。
 この曲に限ったことではないけれど、照明の使い方も巧みで、それぞれの曲
に合っていた。雰囲気を盛り上げるのに、一役も二役も買っていました。

 クラシックの曲が途中で突如アメリカンポップスになり、奏者の女性Aが黒
サングラスを掛けて踊り出す。それに憤慨するポーズのリュウ。やがて曲の切
れ目になり、再びクラシックに。今度はAが不満そう。ところがまた曲の切れ
目で、ポップスに転じる。これを何度か繰り返したあと、見かねて、別の女性
奏者BがAを止めに入る。止まらない。Bは最後の手段とばかり、クラシック
の曲に合わせて踊り出す。踊るスペースがなくなったAは思案の末、仕方なく、
Bと一緒に踊る。(^_^;)

 そんなこんなで、一番盛り上がったアンコールもとうとう終わり、演奏者を
拍手で送り出す。
 名残惜しいけど帰りますか……と席を立ったとき、演奏者達が再び登場。さ
すがにもう曲はなかったけれど。私達観客は足を止め、激しい拍手喝采を送っ
たのでした。ただ、今度は立場を入れ替えて、演奏者が観客を何度も足止めす
るつもり?と一瞬思ったですよ(苦笑)。

 家路に就く観客皆の顔の晴れやかなこと。誰もが満足の笑みを覗かせ、ゆっ
たりとした足取りで進みつつ、楽しませてもらったコンサートについて語り合
う。会場の大きなガラス窓の向こうには、雨降る夜の街が浮かんでいました。
 最後までよかったです。

 今、東京公演が国際フォーラムで行われているはずです。確か、今月の二十
七日まで。どれだけよさが伝わったのか、私の拙文では心許ないので、できる
だけ多くの人に実際に行って体感してほしい。


 鑑賞記を書いて、思ったこと。
 拙作『そばいる』で描いたエリオットらによるクリスマスの音楽会も、こう
いう雰囲気を打ち出したかったな。書き直すかも。でも今すぐ書いたら、全く
の真似になっちゃうだろうし〜。

 ではでは。「雰囲気」用いすぎ>σ(^^;) 




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