#968/3572 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 19/05/20 21:56 ( 46)
いかにも現代的な悪党 永山
★内容
WOWOWのドラマ「悪党」第二話をネット同時配信で視聴。ネタバレ注意。
犯罪加害者のその後を調査する専門の探偵として働く、元警察官の佐伯。かつて姉を
殺した元未成年者三人への復讐が頭を離れず、仕事の合間を見付けては、三人の今を探
っている。その内の一人でラーメン屋をっている田所について調べていくと、田所がキ
ャバクラ嬢のはるかにご執心だと知る。
やがて仕事が舞い込み、二十歳の青年・剛からの依頼を受ける。剛が探したいのは紀
子という女性で、依頼者本人は語らなかったが、剛の母親だった。典子は十六年前、四
歳の剛とその弟を自宅に二ヶ月も放置し、弟を死なせていた。
佐伯が調べを進めると、紀子は五年で出所し、ある弁当屋の妻に収まっていた。しか
も妊娠中でお腹が大きくなっており、幸せに暮らしている様子だった。
そのことを佐伯が報告すると、剛は怒りの感情を見せる。せめて貧乏暮らししていた
ら気が晴れたかもしれないが、結婚してもうすぐ子供が生まれそうだと? よく産む気
になったな!と。
そんな剛に、佐伯を雇う所長の小暮は、追加料金を払うことで行使できるオプション
があると告げる。多少イレギュラーなことでも引き受けるという所長の囁きに、剛は少
し考えさせて欲しいとその場は帰る。だが、後日、佐伯と会った剛はオプションを申し
込んでくる。「今日一日、紀子を観察する。その間、俺を見張っていて欲しい」
紀子を襲ってしまいそうになったら止めてくれということかと確認を取る佐伯。剛は
首を横に振る。「俺はあんたに見張られながら、今の紀子と向き合う。どんな感情が湧
くかは分からないが、そうなったらそのときはそのときだ」
了承した佐伯は、剛を尾行する。紀子を遠くから眺めていた剛は、やがて彼女の勤め
る弁当屋に客として入り、買い物をする。店を出る際、ドアのところで長く立ち止まっ
た剛に、紀子が声を掛けた。息子に気付かない母親に対し、剛は名乗り、言った。「俺
はあんたのこと一生許さない。腹の中の子は弟の生まれ変わりだ。今度こそ大切に育て
ろよ」――この言葉に、紀子は泣き崩れ、許しを請う言葉を繰り返す。
紀子を放って店を出た剛と佐伯は対面する。これが俺の復讐ですと言った剛に、佐伯
は認めるような態度を取るのだった。
――以上があらすじ。がっつり書きました(笑)。
初回もよかったけど、第二話はそれ以上だったというのが私感。ドラマの演出で素晴
らしいと思ったのが、弁当屋での剛と紀子のやり取り。それを佐伯がドアのガラス越し
に見ているのですが、声は聞こえない。ほぼ紀子の表情と動きだけを映して、その場は
これで終わり。視聴者の想像をかき立てた後に、店の外での会話で答が分かる。
この復讐も凄い。表面的には、縁は切るからそっちは勝手に真っ当に生きろって感じ
だけど、受け手の紀子が妊娠していることが大きい。下手すると流産の恐れがあるタイ
ミングだし、そうならずに無事出産したとしても、ずっと脳裏に残り、一生張り付く呪
い。まさに呪詛の言葉。
佐伯は剛の行動を見て、自分の復讐の方向性を見出したのか? そんな単純でもなさ
そうだけど、意味深なラストでした。
粗筋では触れませんでしたが、前回のラストで、坂上を刺した細谷(前の感想で「さ
えき」を刺したとしてましたが誤りです、すみません。訂正済み)についても描かれて
おり、坂上は半身不随、細谷は殺人未遂で公判中、坂上の恋人リサは坂上の正体を知っ
て思い悩むも、佐伯のやったことには怒りを露わに。さらに坂上は車椅子姿で登場し、
佐伯と絡む場面があったので、今後も出て来る模様。一回きりでは描き切れないのはよ
く分かるから、どんどん描いていって欲しい。
ではでは。