#1155/1158 ●連載 *** コメント #1154 ***
★タイトル (sab ) 22/10/13 15:04 ( 56)
ニューハーフ殺人事件19 朝霧三郎
★内容
副題:アナル調教で洗脳?
水戸光男と明子巡査は桜田門の警視庁の内部に入った。
V字型の桜田通り側の6階に捜査一課はあった。
パーティションで区切られた接客室で待っていると、すぐに斎藤警視が現れた。
背が高くて色が白くて、如何にも頭が切れそう。
「どうぞ」と席をすすめられて、会議室用の固い椅子に座った。
斎藤警視も着席すると「さっそくだが」とすぐに話を進めた。
「だいぶ捜査も進んで、容疑者のホームレスも自白をしているから、
ここらで終了という感じなんだろうが、そうも行かない理由があるんだ。
実は、1年ぐらい前に、京都の方で類似の事件が起こっている。
被害者は警察マニアの30代の男だが、
京都の建築現場で、立ち小便をしているところホームレスに刺される、
という殺られ方だった。
これが、ガイシャの写真だ」
水戸光男と明子巡査は斎藤警視が机の上に出した写真を見た。
ガイシャは長髪で、胸元をあけた長い襟のワイシャツに3ピース。
腹の左側、肝臓のあたりから出血している。
「この服装が問題なんだよ。
今時、メンズビギのスーツにワイシャツ、それに長髪だ。
ガイシャのヤサを家宅捜索したところ、
「太陽にほえろ! マカロニ刑事編」のDVD-BOXが発見されたのだが、
それには、「13の金曜日マカロニ死す」が収録されている。
そのドラマのショーケンのファッションとガイシャのファッションが似ているんだ。
場所も、ドラマの方は新宿の工事現場だが、
実際の事件でも京都の工事現場で類似している。
それと、池袋の事件との類似点だが、京都のガイシャは、解剖の結果、
肛門が脱肛、つまりアナルローズ状態なんだ。
これは、過度の肛門性交によりそうなるそうだが。
さらに捜査を進めて行くうちに、
ハッピーメールでこのガイシャとやりとりしていた看護師Xという存在が浮上した。
このXは肛門性愛の調教師で、しかもニューハーフだった。
ネット上ではやりとり出来たのだが、リアルでは任意聴取もできなかったのだが。
「太陽にほえろ!」のDVDもこの看護師がプレゼントしたという事だ。
そして、アナル調教も繰り返していたそうだ。
しかし、このXとは会えずじまい。
容疑者のホームレスは、ガイシャに頼まれて刺したと言い張っている。
もしかしたら、看護師Xが、アナル調教を繰り返し行って、
それから、「13の金曜日マカロニ死す」の死に方で死ねと洗脳して、
それでガイシャがホームレスを雇って自分で死んだんじゃないか、
という仮説が出ていた。
それでも、ホームレスが犯人という事で立件されたのだが。
そんな事件があった後に、今回の池袋の事件だ。
もし京都の事件が、看護師Xのアナル調教による
「13の金曜日マカロニ死す」の死に方で死ね
という洗脳によるものだとしたら、
池袋の事件も、誰かによるアナル調教と、
「愛と誠」の様に死ねという洗脳によって死んだんじゃないか、
という想像が出来る」
ここまで語ると、斎藤警視は水戸光男と明子巡査の顔色でも観察する様に注視した。
「まあ、あなた達には変な話に聞こえるかも知れないが、
こういう、肛門性愛とか、死への欲動とも思える死に方とか、
そういう事に関しては、池袋署の方では何か考えているの?」