#1145/1158 ●連載 *** コメント #1144 ***
★タイトル (sab ) 22/09/26 13:28 (122)
ニューハーフ殺人事件9 朝霧三郎
★内容
副題:『砲艦サンパブロ』のスティーブ・マックイーンみたいに死にたいのか、
それとも介抱されたいのか。
駅前通りから陸橋通りに入って陸橋とは逆方向に5、6分行った、
中山道に近い辺りに、水戸光男のヤサはあった。
六十になっても、水戸光男は独り者だった。
誰も居ない2DKのアパートに入ると、玄関脇のキッチンの冷蔵庫から
ペプシを取ってきて、寝室に入った。
机に腰掛けると、引き出しから外では吸わないアイコスを取り出して、
タバコステックを差し込むと、すーっと吸い込んではーっと吐き出す。
吐き出された煙はエアロゾルですぐに霧散した。
とりあえずコーラを飲みながら一本吸い尽くす。
吸い殻は、薬瓶に入れてギュッと蓋を締めた。
さっきドンキで買ってきたアナルビーズを黄色いレジ袋から取り出した。
とじ紐を3本つなぎ合わせて、アナルビーズのコックリングに結びつけた。
机の中にあったコンドームを取り出すと、アナルビーズにかぶせた。
(こういうことをするのはこれが初めてじゃない)と光男は思った。
(そもそも最初から、精通の時から、俺はおかしかった。
精通したのは遥か四十八年前、中二だったが、あの頃は性に関しては全くの無知で、
俺のペニスは、包皮がカリんところに溜まった恥垢にひっかかって
剥けないでいたのだが、
あれを無理に剥くと、えんどう豆の様に脱落するんじゃないかと思っていた。
それでも入浴の度に、少しずつ溶かしていって、
そしてとうとうある晩剥け切った。
生後十四年にして、とうとう外気に触れた自分の亀頭。
最初は皮を剥いて突っ張らせて膨張させることだけで快楽を得ていた。
ただ、あの頃から 肛門の疼きはあって、
自然とアナルをいじるようになった。
それがエスカレートして、ペンやらドライバーやらリコーダーを
枕元に並べておいて、夜な夜なアナルへの挿入を楽しむ。
そうしてとうとう或る晩射精したのだが、
それは包皮を強く剥く事と肛門への刺激のみによる精通だった。
だからって別にホモじゃない。
じゃあどういうプレイがいいのか、というと…)
追憶から目を覚ます様に頭を振ると、光男は、
アナルビーズを持って、ベッドに移動した。
ベッドの向こう側の真ん中へんにクローゼットの取手あるのだが、
そこに紐を縛り付けた。
ペペのローションをアナルビーズにたらすと、指先で入念に塗りつけた。
(これで準備オッケーだ)
ベッドに横になって、仰向けに寝て両足を開いてみたり、
左横向きに寝て左手でハンケツを掴んで右手で挿入をこころみたり、
結局、左横向きに寝て金玉鷲掴み、
右手の人差し指でアナルビーズの一個目を肛門に押し付けた。
括約筋がビーズを押し戻そうとするが、力を入れると、
ヌルッっと吸い込まれていった。
二個目以降は、アナルビーズを引っ張れば括約筋が吸い込もうとするので、
その勢いで吸い込む様にする。
そうやって、とうとう8連の全部を直腸に入れる。
両手を前に回して、右手でペニス、左手で睾丸を握った。
そういう状態で、腰の動きだけで、アナルビーズを抜こうとしては、
括約筋を締めて肛門内に吸い戻す。
アナルビーズの丸みが括約筋を刺激するたびにペニスがびくびくするのを
更に手で揉む。
そして光男は妄想の中へ沈んでいった。
(ここはどこだ。
ここは京浜東北線の駅の医務室か。
オレは丹古母鬼馬二に切られた背中の傷の為にここにいるのか。
いや違う。
ここは野戦病院だ。
俺は『砲艦サンパブロ』のスティーブ・マックイーンみたいに、
中国の奥地に教師として赴任したキャンディス・バーゲンを助ける為に、
奥地に入っていって、そこで、殉死するのだったが、奇跡的に助かったのだ。
薄暗い野戦病院のカーテンの向こうから、
ナイチンゲールの格好をした啓子が現れた。
啓子はかがみ込んで俺の顔を覗いた。男前な顔が間近に見える。
「包帯の交換にきました」
ピンセットやガーゼの乗ったトレイをもったまま啓子は背後に回った。
それから、かちゃかちゃ音を立てて準備をしていたが、やがて、
傷口に詰め込んであるガーゼを取り出す。
「いたッ」
「我慢して」言うと、啓子は背中で処置を続ける。
それが終わると、こっちの二の腕に手を乗せて耳元で
「まだまだ肉が盛り上がってくるまでには時間がかかりそうだわ」とささやいた。
「じゃあ体を拭きます」
啓子に背中を拭かれる。腰のあたりから、尻の膨らみのあたりまで拭かれる。
「あ、肛門の中の弾の傷跡も消毒しないと。
でも、出血して血が固まってしまっているわ。
これだけ固まっているとお湯で拭いただけでは無理ね。捲綿子で取り除かないと」
啓子はまず、尻のほっぺを広げて肛門を露出させて、
大雑把に肛門周囲をタオルで拭いた。
それから、親指と人差し指で、ぐーっと肛門を広げると、捲綿子を挿入してくる。
血で汚れた捲綿子は鉄の皿に捨てられた。
啓子は更に指に力を入れて思いっきり肛門を開くと、
二本目の捲綿子を突っ込んでくる。ぐりぐりぐり。
そして、汚れた捲綿子を捨てる。
やがて固まった血は綺麗に取り除かれて、ピンクの直腸粘膜が現れた。
丸で十四年ぶりに恥垢が取り除かれた亀頭の様に綺麗なピンク色をしている。
「ほら、こんなに綺麗になった」啓子はこっちの二の腕に手を乗せると
俺の顔を覗き込んだ。
「それじゃあ肛門の内側にクリームを塗っておきますからね。
必要な処置ですからくすぐったがらないで」
言うと啓子は、クリームを乗せた指2本を肛門に滑り込ませてきた。
ずぶずぶずぶ。
「ああーっ」
「我慢して」
クリーム擦り込ませるために、肛門の内側にぐるり一周指を這わせた。
ぬるぬるぬる。
「あっ」
更にもう一周、ぬるぬるぬる。
「あーーーッ」
「はい終わりましたよ。今度は奥の前立腺の方にも塗りますからね。
これは、治療上必要なことだから恥ずかしがらないで」
言うと指2本を付け根まで挿入させると、前立腺側を、ぐりぐりぐり。
「あーーーー」
「もう少し我慢して」ぐりぐりぐり〜。
「おおーーーー」)
そしてリアルの光男は大量の射精をした。
ぴゅっぴゅっ、とペニスが痙攣する度に括約筋が閉まって、
アナルビーズがギューッと吸い込まれる。
しかし既にそれは性的な快楽ではなくて、排便の際の肛門の感覚に成り果てていた。
はぁーと光男はため息をついた。
ティッシュの上に放射線状に撒き散らされた精液からは、
かすかな栗の花の匂いが立ち上ってくる。
肛門からアナルビーズを取り出してコンドームを外した。便はついていなかった。
机のところに戻ると、丸で一仕事終えたみたいに、又タバコに火をつけた。
スーッと一吸い。
PCを立ち上げるとYoutubeにアクセスした。