AWC 本の感想>『気分は名探偵』その5,6   永山


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#4602/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  07/11/08  23:47  ( 32)
本の感想>『気分は名探偵』その5,6   永山
★内容
・『気分は名探偵』(我孫子武丸・他 徳間書店)16/5542
 気鋭の本格ミステリ作家六名からの挑戦状。犯人当てアンソロジー。

 以下、ネタバレ注意&既読の人にしか分からない書き方をしています。

 法月綸太郎「ヒュドラ第十の首」。簡単簡単。いや、ほんとは難しかった。
データを補うため、知らない点をネット検索で調べたが、その過程で、「へー、
こういう物もあるのか」と感心したことがあり、そのおかげで二人まで絞り込
んだ容疑者を詰め切れなくなりそうになった。でもまあ、常識的に考えてこう
だろう……と推理を固めて解決編を読むと、的中していた。ほっ。

 西澤保彦「蝶番の問題」。……うーむ。これはとても優れたアイディアだと
思うんだけど、書かれた限りでは納得行かない。肩たたきと両手の荷物から、
この人は耳が聞こえないのだと思い当たるも、その時点では解決に結び付かな
かったため、他の線を模索してしまった。たとえば片腕の人物がいるんじゃな
いかとか、単に口がきけないんじゃないかとか。それらも徒労に終わって読み
返す内に、ああ、ほとんどが聴覚障害者なんだと察した。が、それでもなお詰
め切れない。健聴者が犯人でないのは分かるが、残る一人の聴覚障害者を犯人
とするには、どうしても承伏できない点があった。軋みの激しいドアの蝶番に
サラダ油を塗ったところで、視聴覚障害者には軋みが収まったか否かの判断が
できないのだから、犯行に踏み切れるはずがない。視聴覚障害者なら、ドアが
軋むと知った時点で、犯意を隠したまま、サラダ油を塗ることを提案し、健聴
者に確認して貰うのが当然であろう。
 そもそも、視聴覚障害者が犯人なら、第二の犯行には、残る唯一の健聴者を
真っ先に殺すんじゃないかなあ。他の二人に物音を聞かれる心配はないんだか
ら。
 そんな訳で袋小路に陥り、他に犯人がいると考え、美穂が実は生きていて、
問題なく喋ることができ、パソコン文書も音声入力で改竄したんじゃないか、
なんて可能性まで探ってしまった。
 もう一つの仕掛け(手記が刑事の創作)は楽に見抜けた。

 ではでは。





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